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2021年6月

神経内科のすゝめ

今回は前に行ったホームページアンケートでいくつか要望のあった「なぜ神経内科を選んだか?」という点に関して個人的な経験を書かせていただきます。個人の経験に基づいた話なので多くの方にはあまり参考にならないですがご容赦ください。私はとある市中病院で2年間初期研修を行い、後期研修で何科を専攻するか悩んでいました。内科には決めていたのですがもともと総合内科をやりたいと思っていたため後期研修で総合内科を専攻す […]

CRPS: complex regional pain syndrome 複合性局所疼痛症候群

私は今まで一度も本症候群に出会ったことがなかったのですが、ついに真剣に鑑別診断として考える必要がある状況になりました。全く勉強したことがない分野で(どちらかというとpainやリハビリ領域での文献が多いようです)、勉強した内容をまとめます。どうしても雲をつかむような話も多くなってしまうかもしれませんが、ご容赦ください。 病態・臨床像 もともとは反射性交感神経性ジストロフィー(RSD: reflex […]

肝肺症候群 hepatopulmonary syndrome

先日はじめて肝肺症候群の症例を経験し(私は普段エコー室で循環器の師匠の先生に教えていただいているのですが、そこでmicrobubble testを一緒に実施させていただきました)、勉強した内容をまとめます。 分類/病態 1:肝肺症候群(hepatopulmonary syndrome) 病態:肺血管拡張によるシャント血流による酸素化障害診断:低酸素血症(AaDO2開大)+右左シャントの証明(肺血流 […]

「救急外来、ここだけの話」 編集:坂本壮先生、田中竜馬先生

私も一部執筆に関与させていただいた書籍のご案内/宣伝です。救急外来での疑問やテーマに沿って各分野の先生が答えていくというとても実践的的で実臨床に沿った内容で、救急で有名な坂本壮先生と集中治療で有名な田中竜馬先生がコラボレーションされている企画です。販売日は2021年6月21日ですが現在Amazonでも予約が可能ですので、もしよければご検討いただけますと幸いです。

麻薬拮抗薬鎮痛薬

ポイント・天井効果(ある一定量以上投与しても鎮痛効果は同じ)があるため一定以上の鎮痛効果を望むことは難しい。(確実な鎮痛を望む場合は用量依存性に効果を得られる麻薬性鎮痛薬を使用するべき)・短時間の処置、侵襲的検査などで使用する場合がある。・他の強オピオイドの作用を拮抗してしまう点に注意。・麻薬処方せんが不必要であるため使用しやすい。 ペンタゾシン 商品名:ソセゴン作用機序:κ受容体部分作動薬 *交 […]

アセトアミノフェン Acetaminophen

ポイント 1:解熱鎮痛薬の第1選択(長期使用での副作用が比較的少なく、NSAIDsの前にまず使用を検討)2:十分量を使用して効果がない場合にはじめて他の解熱鎮痛薬を検討する(投与量が十分でない状態で「効果なし」と判断されている場合が多い点に注意)3:NSAIDsと異なり抗炎症作用はない(痛風などには効果がない) 特徴 ・作用機序:NSAIDsと異なり末梢での抗炎症作用は持たない(このため炎症を抑え […]

痛風 gout

病態/臨床像 ・病態:尿酸ナトリウム結晶の沈着・男女比が9:1と圧倒的に男性に多く、女性で少ない理由は閉経前エストロゲンの作用で尿酸排泄が亢進しているためと考えられている。・結晶の析出が病態なので、基本温度が高い体幹近くの関節では起こりにくく温度が低い遠位の関節で発症しやすい。また夜間は体温減少するため結晶が析出しやすい(このため明け方に母趾MTP関節での発症が多い)。 リスク因子 ・脱水、外傷、 […]

2次性高血圧症

原因 成人で2次性高血圧は高血圧全体の5~10%を占めるとされています(AmFam Physician. 2010;82(12):1471-1478.)。このため、高血圧患者さんを全て本態性高血圧症と片付けるのではなく、一度は2次性高血圧症の評価を行うべきです。2次性高血圧症の原因は下記が挙げられます。 ■内分泌:原発性アルドステロン症・褐色細胞腫・クッシング症候群・先端肥大症・甲状腺機能亢進症・ […]

一過性脳虚血発作 TIA: transient ischemic attack

個人的にはTIAの診断は病歴聴取能力をよく反映した疾患と思っており、研修医の先生にも積極的に指導している疾患です。高齢者の「なんとなくちょっと調子がわるかった」が全てTIAになってしまうとその後ずっと抗血栓薬を内服しつづけないといけない代償が大きいですし危険です。 臨床像/診断のポイント ・神経症状の持続時間は通常「秒から分単位」(通常1時間以内)のことが多いです。これより長い時間だと通常梗塞とし […]