注目キーワード
YEAR

2020年

原発性アルドステロン症 Primary Aldosteronism

1:なぜ過小診断なのか? 原発性アルドステロン症は過小診断”Under-diagnosed”であると報告されています。多い報告では11.2%が原発性アルドステロン症であったと報告されています。高血圧患者の1~2%にしか原発性アルドステロン症の検索がされていないとも報告されています。 低K血症が有名ですが、逆に「低K血症の高血圧患者」しか原発性アルドステロン症のスクリーニング […]

発熱へのアプローチ:救急外来version

救急外来での発熱の鑑別は無数にあり、体系的なアプローチを持っていないとただ漠然と身体所見をとったり、肺炎と尿路感染症ばっかりを考えてしまうことになりかねません。ここでは普段私が救急外来で研修医の先生方と話している発熱へのアプローチを紹介させていただきます。(ちなみに入院患者さんでの発熱へのアプローチはこちらもご参照ください) 1:どこの臓器の感染なのか? 個人的には救急外来の発熱診療はどうしても忙 […]

MDSとBehcet病

MDS(myelodysplastic syndrome)では免疫システムの破綻が病態に関与していることが知られており、MDSの10-20%に自己免疫疾患を合併すると報告されています。 ■自己免疫疾患を合併したMDS123例のまとめ Rheumatology 2016;55:291-300 MDS/CMLL合併した自己免疫疾患としては血管炎32%(PN12例、GCA9例、Behcet病6例:全体の […]

MVNT: multinodular and vacuolating neuronal tumor

先日この疾患の名前を読影レポートで読み「???」だったため調べました。 MVNTは2013年にはじめて疾患概念が提唱された疾患概念で、成人の大脳半球皮質髄質境界部分に発生する異型神経細胞(腫瘍か形成異常かは結論が出ていない)による多発結節状病変です(Brain Pathol 2013;23:515)。2016年のWHOの分類ではganglion cell tumorに分類されていますが、腫瘍か形成 […]

Arachnoid web

先日”arachnoid web”術後(術中所見で証明済み)の患者さんを診療する機会がありました。名前だけ聞いたことがあったのですが、具体的な病態など全く知らないため調べた内容をまとめます。Spinal arachnoid webとも文献では記載されていますが、対応する日本語名はまだないように思います。 病態と症状 くも膜下(脊髄外、硬膜内)に膜状のバンドの様な構造物が形成 […]

Dropped head 首下がり

首下がりはしばしば「年齢のせいですよ」とされてしまい、器質的な原因が精査されていない場合がありますが、中にはtreatableな疾患もまぎれているため重要です。以下に勉強した内容をまとめました。首下がりは英語文献では様々な表現がされますが、ここでは”dropped head”という表現で統一します。 原因 首下がり病態の原因としては以下の3つが挙げられます。病態1:頸部筋力 […]

進行性核上性麻痺 PSP: progressive supranuclear palsy

病態 ・4R tauの沈着が病態で、そのtau蛋白の沈着分布により臨床像には幅があります(下図参照)。もともとは1964年に指摘され、その後PSP-Pが2005年に指摘(2000年以前の報告は基本的にPSP-RSのものである点は注意が必要である)、PSP-PAGFが2007年に指摘されるようになりました。*4R tau:PSP, CBD, AGD, 3R tau:Pick病・病理学的には淡蒼球内側 […]

多発神経根症 polyradiculopathy

神経根障害は頚椎症性神経根症と腰椎症性神経根症が頻度として圧倒的に多いです。しかし、それだけではなく胸髄領域の神経根が障害される場合もあれば、複数の神経根が同時障害される多発神経根症を呈するものもあります。ここではminorな多発神経根症の鑑別をまとめます。 どの部位の障害か? 以下にどの部位の神経根が障害されるとどのような症状が出現するかの対応を記載します。 頸髄神経根:頚部痛(~肩甲骨周囲の疼 […]

脳静脈血栓症 CVT: cerebral venous thrombosis

病態 ・若年脳卒中の原因として重要です(全脳卒中の0.5-1.0%を占めると報告されています)。女性の方が男性よりも3倍頻度が多いとされていますが、これは妊娠関連や経口避妊薬内服によるリスクなどが寄与しているかもしれません。昨今はCOVID19のadenovirus vector vaccineの副作用/合併症として報告されています。下図は年齢ごとの男女での分布。 ・脳の静脈還流は動脈還流のように […]

多系統萎縮症 MSA: multiple system atrophy

病態 ・孤発的にoligodendrocyteにα-synuclein(αシヌクレイン)が蓄積する病態です。0.6人/100,000/年*参考:α-synucleinoopathy 1:神経細胞に蓄積→レヴィ小体 疾患:パーキンソン病・LBD 2:オリゴデンドロサイトに蓄積→GCI(glial cytoplasmic inclusion:グリア細胞質封入体) 疾患:MSA 病変分布によってパーキン […]