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2020年1月

総合感冒薬

0:総合感冒薬とは何か? いわゆる「風邪薬」としてテレビCMでも多く宣伝されている総合感冒薬ですが、その具体的な成分を皆さまご存知でしょうか?病院で処方することはありませんが、最もcommonなOTC(Over the counter:薬局で処方箋なしに購入することが出来る医薬品)として重要なのでまとめてみました。 基本的な配合成分は以下の4つです。1:解熱目的:アセトアミノフェン or NSAI […]

深部感覚失調 sensory ataxia

0:神経解剖 失調というと小脳失調が有名ですが、深部感覚が障害されても体の位置がわからなくなることで失調が生じます。 外部から皮膚に加えられた刺激は表在感覚と表現し、身体部位の運動・姿勢に関する身体内部(筋肉・骨・関節)由来の刺激を深部感覚といいます(固有感覚:proprioceptive sensation)。普段救急の神経診察ではあまり診察しない項目かもしれませんが、失調(ataxia)の評価 […]

Miller Fisher症候群

0:病態 1956年Miller-Fisherが3症例報告したことが端緒で、1992年抗GQ1b抗体の検出が報告されたこと(Neurology 1993;43:1911)で疾患概念が確立してきました(Miller FisherさんなのでMillerとFisherの間にハイフン”-“は入れない)。Guillain-Barre syndromeのなかでの位置付けとしは下図の通り […]

水平性眼球運動 horizontal eye movement

0:水平性眼球運動の機序 水平性眼球運動の機序に関して解説をします(私たちが随意的に水平方向を見るときに眼球をどうやって動かしているか?)。 水平方向を見るときには、前頭眼野(FEF: frontal eye field)からPPRF(paramedian pontine reticular formation:傍正中橋網様体)という側方注視中枢へ刺激が入ります。この刺激は同側の外転神経核に伝わり […]

ODS: osmotic demyelination syndrome 浸透圧性脱髄症候群

0:はじめに 学生の時に勉強したときのイメージと実際の臨床像が全く違う疾患の1つと個人的には思います(学生の時にはこの疾患になったら死しかないと思っていましたが、実際には違います)。まず、疾患概念の理解の助けにもなるので、この疾患概念の推移を簡単に記載します。 1959年Adamsらによって橋中心性脱髄症候群CPM(central pontine myelinosis)の症例が初めて報告(AMA […]

代謝性アルカローシス metabolic alkalosis

0:生理 代謝性アルカローシスの主病態はHCO3-を腎臓から排泄する機序が障害されていることです(正常ではHCO3-が過剰になっても腎臓から排泄することで恒常性を維持することが出来る)。このため、HCO3-が腎臓で生理的にどのように再吸収、排泄されるかを理解することが重要です(下図のまとめから解説します)。 1:HCO3-の再吸収 HCO3-は基本的に集合管まででほぼ全て再吸収されます(近位尿細管 […]

酸素療法 oxygen therapy

0:酸素療法を始める前に 酸素療法を始める前に以下の4点を確認してから開始するようにします。低酸素血症の理解が前提として必要なので、こちらを参照ください。 1:酸素化の問題でよいか?(換気の問題ではないか?)2:FIO2/投与量の設定3:Low flow system(低流量システム) or High flow system(高流量システム)4:目標SaO2をいくつに設定するか? 以下それぞれに関 […]

ICU book

分野:集中治療 久しぶりにおすすめの医学書の情報を載せます。(下図をクリックするとAmazonリンクへ移動できます) 1:どんな本? Marino先生の単著!!(一人で全部書いていてすごい!)で、その豊富な臨床経験に基づいた観察と生理学の知識に裏打ちされた解説は圧巻です。普通の教科書は事実をまとめて羅列する無機質な記述が多いですが、本書はMarino先生が語りかけるように書かれておりとても読みやす […]

嘔気・嘔吐へのapproach

0:嘔気・嘔吐の機序 嘔気、嘔吐の機序は多岐にわたり、1:消化管・内臓からの迷走神経刺激2:前庭刺激3:中枢神経からの刺激4:最後野の直接刺激が原因として挙げられます(上図参照)。 嘔気は診断が難しい主訴のうちの1つだと思います。その原因としては、・疾患特異性に乏しい症状である(いろんな疾患で嘔気は呈するが、嘔気だからこの疾患と特定することが出来ない)・嘔吐が強いと嘔吐にばかり目がいってしまい他の […]

なぜ血圧を上げるのか? カテコラミンの理解のために

0:なぜ血圧を上げるのか? 私たち医療者は患者さんの血圧が下がると不安な気持ちになり、頑張って血圧を上げようとします。一見臨床では当たり前の光景ですが、そもそもなぜ血圧を上げる必要があるのでしょうか? 血液循環本来の目的は「酸素化された血流を組織へ届けること」です。組織への血流は下の式で規定されます。 「還流圧」は心拍出量によって規定されます(電気回路に例えると「電圧」に該当します)。 「血管抵抗 […]