神経痛性筋萎縮症 NA: neuralgic amyotrophy/Parsonage-Turner syndrome

病態

神経痛性筋萎縮(NA: neuralgic amyotrophy)突然発症の肩周囲疼痛から上肢の筋力低下をきたす症候群として1948年にParsonage先生とTurner先生がまとめられたことに端を発します(このことから神経痛性筋萎縮は別名Parsonage-Turner症候群と称されます)。一般的には腕神経叢ニューロパチーの鑑別(腕神経叢炎 brachial plexitis)として捉えられていましたが、そもそもParsonage先生、Turner先生は当初の報告で腕神経叢の障害とは言及しておらず、様々な変遷を経て現在は腕神経叢由来の末梢神経を主体とした多発単ニューロパチーとして捉えるのが正確だとされています。しかし、腕神経叢以外の神経を障害する場合もあり疾患概念に幅があります(下図参照)。 read more

神経内科 おすすめ本 後期研修医向け

私の専門である神経内科領域のおすすめ本(神経内科を専門とされる卒後3-5年後期研修医の先生方向け)をこの記事では紹介させていただきます。症候学・画像・電気生理・解剖・病理・雑誌とジャンルごとに掲載させていただきました。本の写真をクリックしていただくとAmazonのリンクに飛びます。 read more

HDLS/ALSP: hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroid/Adult onset leukoencephalopathy with neuroaxonal spheroids and pigmented glia

病態

・神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症(hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroid:HDLS)は遺伝性(常染色体優性遺伝)の白質脳症を呈し、成人発症の若年性認知症の原因として重要です。ミクログリアの機能異常が病態で、ALSP(Adult onset leukoencephalopathy with neuroaxonal spheroids and pigmented glia)とも表現されます。1984年に初めて報告されてから、2012年に遺伝子診断(colony stimulating factor-1 receptor(CSF-1R))が可能となり(Nat Genet 2012;44:200-205.)、その名称も複雑になっています(下図参照)。家族歴がない症例の報告もあることから家族歴がないだけでは本疾患は否定できません。 read more

血管炎性ニューロパチー

病態・臨床症状

・血管炎性ニューロパチーは末梢神経系の栄養血管に炎症が生じ、虚血により軸索障害をきたす病態です。亜急性~急性の経過で進行し、数日で歩行不能となってしまう場合もあります。治療が遅れると軸索障害が進行してしまい不可逆的になるため、末梢神経障害の中ではギラン・バレー症候群と並んで血管炎性ニューロパチーは最も緊急性が高い疾患です。分布はnon-length-dependentで多発単神経障害をきたすことが特徴的です。 read more

頸椎症性筋萎縮症 CSA: cervical spondylotic amyotrophy

病態

・頸椎症に伴う神経障害の代表的なものは1:頸椎症神経根症と2:頸椎症性脊髄症の2つです。1:頸椎症性神経根症は神経根性疼痛と髄節性の感覚障害(±運動障害)を主体とし、2:頸椎症脊髄障害は索路障害+髄節性の運動・感覚障害を主体とする病態です(頸椎症性神経根症、頸椎症性脊髄症に関してはこちらをご参照ください)。
・ここではこれらの感覚障害や索路障害をほとんど伴わず髄節性の筋力低下・筋萎縮といった下位運動障害を主体に呈する「頸椎症性筋萎縮症」に関して解説します(もともとKeegan型頸椎症と呼ばれていたものも含まれます)。病態に関しては前根もしくは脊髄前角(圧迫もしくは循環障害による虚血)が頸椎症により選択的に障害される機序が考えられています。 read more

髄液細胞数正常の細菌性髄膜炎

臨床は例外だらけですが、こと致死的な緊急性の高い疾患での例外にはいつも頭を悩まされます(大動脈解離が代表でしょうか・・・)。細菌性髄膜炎もご多分に漏れず、髄液細胞数が正常範囲内の細菌性髄膜炎が報告されています。このテーマに関して調べた内容をまとめます(細菌性髄膜炎の全体像に関してはこちらをご参照ください)。 read more

抗MOG抗体関連疾患

病態

・ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein:MOG)は,中枢神経髄鞘の最外層を構成するタンパク質で、同タンパク質に対する自己抗体(IgG1)が中枢神経脱髄疾患で検出されることから一連の疾患群として認識されています。表現型としては視神経炎、脊髄炎、視神経脊髄炎、ADEM、脳炎(特に「皮質性脳炎」)などを呈し、小児ではADEM、成人では視神経炎の臨床像を呈することが最も多いとされています。 read more

単純ヘルペス脳炎後の自己免疫性脳炎

単純ヘルペス脳炎後に自己免疫性脳炎(特に抗NMDA受容体脳炎)を発症することが指摘されています。この自己免疫応答が単純ヘルペス脳炎により神経組織が破壊され、NMDA受容体が放出されることにより起こるのか?それともヘルペスウイルスのタンパク質と相同性があるのかはまだわかっていません。臨床的観点からまとめます。 read more

腕神経叢 brachial plexopathy

腕神経叢の障害を疑う症例は神経内科をやっていても年に数回あるかどうかなのでなかなか解剖を覚えられません。その都度勉強するのですがするする忘れてしまいます。ここで勉強した内容をまとめます(今度こそ覚えられますように・・・)。 read more