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感染症

黄色ブドウ球菌菌血症 SAB: Staphylococcus aureus bacteremia

色々な菌による菌血症がありますが、1番臨床上重要なのは黄色ブドウ球菌による菌血症です(SAB:Staphylococcus aureus bacteremiaという名前が付いているくらいです)。死亡率は10~20%と報告されており、感染性心内膜炎合併もあるため早期に認識して介入することが重要です。 S.aureusは血液培養で1本でも検出されれば真の菌血症として扱うべきです(contaminati […]

GPC グラム陽性球菌

1:分類 GPC(グラム陽性球菌)は大きく以下の3つにグラム染色の形態から分類されます。1:GPC cluster: Staphylococcus コアグラーゼ産生 or コアグラーゼ非産生2:GPC chain: 連鎖球菌(Streptococcus) or 腸球菌(Enterococcus)3:GPC diplococcus: 肺炎球菌(Streptococcus pnemoniae) 特別な […]

腸腰筋膿瘍 iliopsoas abscess

1:解剖 腸腰筋(iliopsoas muscle)は大腰筋(psoas major)と腸骨筋(iliac muscle)の合わせたもので、椎体(胸椎12~腰椎5)に起始し、大腿骨小転子に停止します。機能としては股関節を屈曲させる働きをしています。同部位に膿瘍を作るのが腸腰筋膿瘍です(下図はPostgrad Med J 2004;80:459より引用)。 腸腰筋の周囲には骨、尿路、消化管、血管など […]

カンジダ感染症 Candida

1:総論 カンジダ感染症はもともと宿主に存在していた病原体により起こる感染症(内因性感染)で、体表のバリアが障害される場合(特に消化管と皮膚のカテーテル刺入部)が障害されることによっております。カンジダは通常皮膚、消化管に常在するので、これらのバリアが障害されると体内に侵入して感染症をきたします。 ・皮膚障害:血管カテーテル、熱傷、腹膜透析、手術・消化管粘膜障害:粘膜炎、消化管手術、消化管穿孔 こ […]

メトロニダゾール metronidazole

嫌気性菌・原虫に効果がありますが、通常のグラム陽性菌やグラム陰性菌には効果がないという特徴的な抗菌薬です。肝代謝、内服もbioavailabilityがほぼ100%と優れており、ほぼ全ての臓器の移行性が良好(髄液移行性を含めて)で優秀な抗菌薬です。 投与量は腎機能に関係なく下記の通りです。 ・静注の場合(商品名:アネメトロ®):500mg q8hr *アネメトロ®は点滴バッグ(500mg/1バッグ […]

テトラサイクリン系抗菌薬

1:分類 細菌のリボソームでの蛋白合成を阻害することで静菌的に作用します。特殊な菌や細胞内寄生菌への感受性を持つ抗菌薬で、具体的にはリケッチア感染症、ブルセラ症、ライム病、マイコプラズマ、クラミジア、クラミドフィラといった感染症において有用です。抗菌薬のスペクトラムというよりも、どの疾患で使用するか1対1対応で把握してした方が使いやすいです。 GPCでは耐性化が進んでおり、緑膿菌カバーと嫌気性菌カ […]

バンコマイシン

1:分類 グリコペプチド系抗菌薬で細胞壁合成阻害の機序で作用します。耐性菌を含めたGPCを幅広くカバーする抗菌薬として重要な位置を占めています。 バンコマイシンがtargetとする菌は3つあり1:MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌), CNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)・GPC cluster菌血症の初期治療・S.aureus菌血症の感受性同定前 (MSSA or MRSAかわからない初期) […]

クリンダマイシン Clindamycin

リンコマイシン系抗菌薬で静菌的に作用し、肝代謝(腎機能による投与量の調整が必要なし)の薬剤です。GPC全般と嫌気性菌(横隔膜よりも上)をカバーする特徴があります。この抗菌薬も基本的に第1選択で使用することはありませんが、ペニシリンアレルギーの患者でのGPCカバー、横隔膜より上の嫌気性菌カバー、Clostridiumによるガス壊疽、壊死性筋膜炎などでの毒素産生を抑える機序、上記2つの場合で使用する場 […]

モノバクタム系抗菌薬 アズトレオナム

モノバクタム系抗菌薬は細胞壁の生合成阻害により、殺菌性、時間依存性に作用します。一般名:アズトレオナム、略称:AZT、商品名:アザクタム®です。なかなかminorな抗菌薬で今まで一度も使用したことがない方も多いかもしれませんが、スーパーサブ的なポジションで非常に有能な抗菌薬です。 緑膿菌を含むGNR全般に効果があります。GPC、嫌気性菌は全くカバーしないことからMr. GNRともいえる抗菌薬です。 […]

マクロライド系抗菌薬

1:分類 マクロライド系抗菌薬は静菌的に作用し 細胞内寄生菌(マイコプラズマ、クラミドフィラなど)に効果がある特徴があります。世代がエリスロマイシン(EM)→クラリスロマイシン(CAM)→アジスロマイシン(AZM)と進むにつれて血中半減期が長くなる特徴があります(AZMは1日1回投与が可能)。 エリスロマイシンは下記の下痢の副作用が強く積極的に使用する場面はほとんどありません。(副作用を逆手にとっ […]