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感染症

神経梅毒 neurosyphilis

病態 神経梅毒は梅毒のどのフェーズでもありえます(梅毒の既感染がなく神経梅毒だけ単独で発症することはありません)。Treponema pallidumが中枢神経に侵入すると、免疫系がTreponema pallidumを排除する場合もあれば、排除できない場合もあります。このように免疫系が排除できない場合に神経梅毒を併発することがあります。 持続性の感染が症状を起こすのは早期合併症と晩期合併症があり […]

感染性心内膜炎と中枢神経合併症

感染性心内膜炎では神経学的合併症を20~40%合併するとされています。塞栓による脳梗塞、感染性動脈瘤、動脈瘤破綻による脳出血、くも膜下出血などが代表的な神経学的合併症です。ここではよく神経内科医が感染性心内膜炎に関してコンサルテーションを受ける点や疑問点をまとめて、現状解答できる内容を解説していきます。 神経学的合併症のリスクは何か? 塞栓症合併症リスクに関しては、様々な報告がありますが最大公約数 […]

再発性髄膜炎 recurrent meningitis

再発性髄膜炎は最低2回の細胞増加を伴う頭痛、発熱、髄膜刺激徴候(間欠期に寛解している)と定義されます。実臨床でもよく遭遇するため、ここでは再発性髄膜炎に関しての素晴らしいreview”Curr Pain Headache Rep 2017;21:33″の内容をまとめます。 鑑別 再発性髄膜炎の鑑別は1感染症、2悪性腫瘍、3良性腫瘍、4薬剤性、5自己免疫性の大きく5つのカテゴ […]

人獣共通感染症による髄膜炎

髄膜炎の鑑別で話題に挙がったテーマでありまとめます。以下はすべてNeurology® 2016;87:1171–1179によるものです(おそらく最も人獣共通感染症の髄膜炎をまとめたreview)。図・Figure/Tableが素晴らしいため、ほぼ張り付けただけで申し訳ございません。 細菌性髄膜炎のうち人獣共通感染を起こす菌が原因となることは1%未満、Streptococcus suisとLepto […]

結核性髄膜炎 tuberculous meningitis

病態 結核性髄膜炎は全結核の約1%を占め、全年齢に起こりますが特に小児やHIV未治療の患者さんに多いとされています。結核性髄膜炎ではCSF内の菌量は100~1000コロニー/mLを超えることはまれで、菌量ではなく宿主の免疫反応が組織障害の程度を規定するとされています。 結核性髄膜炎がどのように引き起こされるか?その機序はいまだ完全には解明されていません。結核菌は血液からBBBを超えて、ミクログリア […]

脊椎硬膜外膿瘍 SEA: spinal epidural abscess

病態 硬膜外脂肪識へ細菌感染をきたす病態です。以下に簡単に脊椎領域の硬膜外腔の解剖を示します。 部位 血行性に膿瘍を形成する場合、膿瘍部位は硬膜外の後方が多いとされています。理由は後方の方が前方と比べて”infection prone fat”(つまり感染する脂肪が多い)とされ、胸腰髄領域が硬膜外腔が広く、静脈叢が低圧であることから感染をきたしやすいとされています。化膿性脊 […]

CRP (C-reactive protein)

私はこれまでCRP(C-reactive protein)に関して様々な医師が様々な意見をおっしゃっている現場に遭遇してきました。その都度「確かにそうだなー」と納得することもあれば、「それはちょっと違うんじゃないかな」と疑問を感じることもありました。ここでは日常診療を通じて感じた自分なりのCRPへの考え方をまとめてみました。あくまで個人的な思いなので気楽に読んでいただけますと幸いです。 0:原理 […]

咽頭痛へのアプローチ

咽頭痛は救急外来で非常にcommonな症候で、圧倒的に軽症なウイルス性咽頭炎が多いですが、見逃すと致死的に至る感染症も多く存在します。”Killer sore throat”を見逃さないためには解剖の理解と、解剖と対応するred flagの症状を把握することが一番重要です。 1:咽頭の解剖 咽頭の解剖部位の名称をきちんと理解できていないと、一体咽頭のどこのことを指しているの […]

CDI : Clostridioides difficile infection

病態 抗菌薬投与中入院患者さんの発熱もしくは下痢の代表的な鑑別疾患がCDI(Clostridioides difficile infection)です。抗菌薬投与患者の下痢が全てCDIではなく、またCDIが全て偽膜性腸炎を呈する訳ではないことに注意が必要です。抗菌薬関連下痢症(AAD: antibiotics-associated diarrhea)の一部がCDI(約1/4を占める)で、CDIの一 […]

CRBSI catheter-related blood stream infection カテーテル関連血流感染症

病態 院内感染症またデバイス感染の代表的な疾患のうちの1つです。重要なのはカテーテル関連血流感染症(CRBSI:catheter-related blood stream infection)は「血流感染症」であって、ただカテーテルの先に菌が定着している状態ではないということです。血流感染症なので、全身の臓器に血流を介して感染が波及する場合もあり、感染性心内膜炎や膿瘍形成などの合併症を起こしうるた […]