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糖尿病治療薬 まとめ

1:糖尿病薬の作用機序

代表的な糖尿病治療薬の作用機序を下記にまとめました。以下でそれぞれの薬の作用機序を解説します。

ビグアナイド系:肝臓での糖新生を抑制することで、血糖値を下げる働きをします。

SU剤・グリニド薬:いずれも膵臓β細胞のKATPというイオンチャネルを阻害することで、細胞膜を脱分極させ、VGCC(電位依存性カルシウムチャネル)を開口することで、Caが流入しインスリンを放出する機序を促進します。

DPP4阻害薬:普段食事が腸にくると、腸からインクレチン(GLP1, GIP)が産生され、これは膵臓のインクレチン受容体に作用してインスリン分泌を促進します。このインクレチンはDPP4により分解されるのですが、この分解酵素を阻害することでインクレチンがより作用し、インスリン分泌を促進しやすくする機序が働いています。

GLP1受容体作動薬:これは注射薬ですが先に解説した通りインクレチン受容体に作用することで、インスリン分泌を促進する働きがあります。これらのインスリン分泌を促進する薬は膵臓でのインスリン分泌能が保たれていることが前提条件としてあるため、注意が必要です。

α-GI(αグルコシダーゼ阻害薬):これは腸管で2糖類がグルコースに分解される際の酵素(αグルコシダーゼ)を阻害することで、グルコースへ分解されることを阻害することで血糖値の上昇を抑える機序です。

SGLT2阻害薬:通常腎臓近位尿細管で糖をNaと一緒に再吸収しており、SGLT1, SGLT2の2つのトランスポーターがありますが、このうち後者を阻害することで糖を体外に排出する作用機序です。

2:治療の目的

まず重要なのが「血糖値を治すことが目的ではなく、糖尿病による合併症を予防することが治療の目的」だということです(数字を良くすることが目的ではなく、患者を良くすることが目的)。ここでの合併症とは細小血管合併症(神経障害・網膜症・腎症)大血管合併症(末梢動脈疾患・脳卒中・冠動脈疾患)が挙げられます(それぞれ「しめじ」と「えのき 壊疽、脳卒中、狭心症」で覚えた方が多いと思います)。

細小血管合併症は、血糖値を下げることで予防効果があるとされています。

大血管合併症は血圧、脂質異常などの総合的な結果なので、血糖値だけ下げても予防効果とは直結しないことに注意が必要です。大血管合併症予防効果を示すことが出来ている経口血糖降下薬のはビグアナイド系、SU剤、あと最近のSGLT2阻害薬のみです(DPP4阻害薬はmeta-analysisでは効果があることが示唆されましたが、単独の薬剤でみたRCTでは効果を示せていません)。このため、「一体自分が何のために糖尿病薬を使用しているのか?」を明確にしながら糖尿病治療薬を処方をすることが重要です。

3:治療薬の選び方

糖尿病治療薬を選択する際には以下の5点を考慮して患者ごとの選択をしていきます。

1:内服 or 注射製剤、コンプライアンス
2:大血管合併症予防効果

3:血糖降下効果
4:低血糖リスク
5:体重増加のリスク
6:副作用

以下にこれらをまとめました(能登洋先生のまとめられているものを引用させていただきました)。

参考文献
・国立国際医療センター能登洋先生の記事を元に上図は作成させていただいました。