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テトラサイクリン系抗菌薬

1:分類

細菌のリボソームでの蛋白合成を阻害することで静菌的に作用します。特殊な菌や細胞内寄生菌への感受性を持つ抗菌薬で、具体的にはリケッチア感染症、ブルセラ症、ライム病、マイコプラズマ、クラミジア、クラミドフィラといった感染症において有用です。抗菌薬のスペクトラムというよりも、どの疾患で使用するか1対1対応で把握してした方が使いやすいです。

GPCでは耐性化が進んでおり、緑膿菌カバーと嫌気性菌カバーはありません。

使用するべき状況は上記の通りで、
・リケッチア感染症、ブルセラ症、ライム病
・非定型肺炎:特にマイコプラズマ、クラミドフィラ
・PID:クラミジアカバー目的(CMZと併用)
・モラキセラ感染症

などが挙げられます。

2:各論

■ドキシサイクリン DOXY(商品名:ビブラマイシン®)

投与量は腎機能に関係なく、初回のみ200mg内服し(loading)、その後は100mg 2T2xを使用します。loadingがある点がやや特徴です。

使用頻度の高い経口抗菌薬のうちの一つです。非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミドフィラ)で使用する(レジオネラへは効果が弱く、基本的にキノロンが第一選択)ことが多いです。その他モラキセラで感受性がある場合もよい適応になり、非定型を含めた肺炎の治療として有用です(肺炎球菌へは単剤では耐性化もあり不十分であるが)。

■ミノサイクリン MINO (商品名:ミノマイシン®)

静注薬がある点が特徴です。敗血症性ショックの患者でリケッチア感染症が否定できない場合は、このミノサイクリンを初期から投与することが出来るかどうかが重要です(私はまだ自分で自身を持って初期からミノサイクリンを投与できたことはありません・・・)。

投与量は腎機能に関係なく 100mg q12hr が標準投与量です。

3:副作用

歯牙黄染作用があり、妊婦と小児には禁忌です。多いものとしては消化管副作用があります。また光線過敏もあります。

小児には長らく使用しにくいとされてきましたが、最近は短期間であれば年齢によらず使用してもよいと海外では報告もされています(J Pediatr 2015;166:1246)。

テトラサイクリン系は活躍する場面が以外と多い薬剤です。私は初期研修医のときに感染症科の先生方から使い方を教えていただいたので、抵抗感が少ないですが、処方したことがないとやや抵抗感がある薬剤かもしれません。適応と副作用を確認して是非使っていきたいです。