リンコマイシン系抗菌薬で静菌的に作用し、肝代謝(腎機能による投与量の調整が必要なし)の薬剤です。GPC全般と嫌気性菌(横隔膜よりも上)をカバーする特徴があります。この抗菌薬も基本的に第1選択で使用することはありませんが、ペニシリンアレルギーの患者でのGPCカバー、横隔膜より上の嫌気性菌カバー、Clostridiumによるガス壊疽、壊死性筋膜炎などでの毒素産生を抑える機序、上記2つの場合で使用する場合があります。
臓器移行性の点では、髄液移行性がないことに注意が必要です(髄液以外の臓器への移行性は良好です)。このため例えば脳膿瘍での嫌気性菌カバーには使用できませんし、髄膜炎での肺炎球菌カバーにも使用することはできません。
投与量は 点滴の場合:600mg q8hr 、経口の場合:150-300mg 4T4x が標準投与量です。
使用するべき状況は、
・ペニシリンアレルギーでのGPCカバー、横隔膜より上の嫌気性菌カバー
・ Clostridiumによるガス壊疽、壊死性筋膜炎などでの毒素産生抑制
が挙げられます。
副作用としては下痢が多く、CDI(clostridium difficile infection)のリスクが最も高い抗菌薬として知られています(投与量や静注、経口に関係なく)。
