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マクロライド系抗菌薬

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マクロライド系抗菌薬は静菌的に作用し 細胞内寄生菌(マイコプラズマ、クラミドフィラなど)に効果がある特徴があります。世代がエリスロマイシン(EM)→クラリスロマイシン(CAM)→アジスロマイシン(AZM)と進むにつれて血中半減期が長くなる特徴があります(AZMは1日1回投与が可能)。

エリスロマイシンは下記の下痢の副作用が強く積極的に使用する場面はほとんどありません。(副作用を逆手にとって経管栄養時の腸管蠕動薬として使用する場合もあるようです)。

クラリスロマイシンはピロリ菌除菌の時に使用します。

アジスロマイシンは半減期が長く1日1回投与、3日間投与で良い薬です。マイコプラズマの治療薬として使用する先生が多いかもしれませんが、マイコプラズマも耐性の問題があり、マイコプラズマはドキシサイクリンで治療する方法もあります(施設ごとに考え方が違うかも)。またレジオネラ菌にも効果がありますが、基本的に第1選択のキノロン系(レボフロキサシン)で治療するべきです。

アジスロマイシンで重要なのはSTD(特にクラミジア感染:Chlamydia trachomatis)です。淋菌に対してセフトリアキソン、クラミジアに対してアジスロマイシンを併用して治療する場合が多いです(ちなみにクラミジアもドキシサイクリンでもOK)。そのほかは播種性MAC感染症(特にHIV感染症)、百日咳、ねこひっかき病などで使用します。

■耐性菌の問題

日本ではマクロライド系抗菌薬が乱用されているため耐性菌の増加が深刻な問題となっています。特にGPCは耐性が多く(肺炎球菌は約80%がマクロライド耐性)、また細胞内寄生菌のマイコプラズマでも耐性が多くなってきています。乱用されがちな抗菌薬の一つとして認識し、きちんと適応を考えて使用することが重要な抗菌薬です。私が初期研修した病院では救急外来で基本的に研修医が勝手には処方しない薬剤でした(マイコプラズマ肺炎はドキシサイクリンで治療していました)。

私はこの耐性菌増加の原因として、「上気道炎にマクロライド」、「慢性咳嗽にマクロライド」という気道系の症状に対してなんとなくマクロライドを処方してしまっているプラクティスが横行してしまっていることに原因があるのではないかと思います。DPB(diffuse panbronchitis)への小容量マクロライド療法はその効果が確立していますが、そこから演繹して「慢性咳嗽になんとなくマクロライドを長期間処方」とか「風邪にもきっとマクロライド」という間違った使い方が多いと思います。これはただ耐性菌を増やしてしまうだけなので注意が必要です。

■副作用

消化器症状(特に下痢)が多く、これは世代が新しくなるにつれて少なくなってきています。エリスロマイシンはこの副作用を逆手にとって経管栄養で胃残量が多い患者での腸管蠕動薬として使用する場合があります(私はエリスロマイシンではなく、メトクロプラミドや漢方薬などを使用します)。

QT延長作用が特に重篤になりうる副作用で最も重要です。抗精神病薬などその他のQT延長をきたす薬剤との併用に注意が必要です(QT延長に関してはこちらを参照ください)。マクロライドを使用前は必ず心電図を予め確認しておく必要があります。

薬剤相互作用も多く、テオフィリン、ワーファリン、カルバマゼピンなどは血中濃度が相互作用により上昇する場合があるため注意です。CYP3A4阻害薬と併用することは避けます。