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2021年

赤の女王仮説 Red Queen Hypothesis

唐突ですが皆様「赤の女王仮説」をご存じでしょうか?(上図はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%8E%8B%E4%BB%AE%E8%AA%ACより引用)ルイスキャロルの有名な小説「鏡の国のアリス」に出てくる赤の女王が発する言葉で「その場にとどまり続けるためには走り続けないといけない」 “It takes […]

尿閉 Urinary retention

ER当直をしているとよく遭遇するのが「尿閉」です。身体所見では臍より下の部分がポコッと盛り上がっており一目瞭然ですが(下図自験例)、患者さんは尿閉ではなく「腹痛」として受診する場合もあるため注意が必要です。 原因 ・男性の場合:前立腺肥大症が最多、前立腺炎も尿道圧迫による尿閉を来しえます(自験例もあります)・物理的な尿道閉塞:血塊による膀胱タンポナーデ、結石・薬剤性:抗コリン薬(特に市販の感冒薬に […]

頚動脈狭窄 carotid stenosis

頸動脈での動脈硬化は特に内頚動脈と外頚動脈の分岐部に起こりやすく、以下2つの機序によりTIA・脳梗塞の原因となります。前方循環の脳梗塞・TIA患者さんでは必ず原因として想起するべき病態(原因の10-20%を占めるとされている)です。機序1:A to A emboli機序2:血行力学的な機序 *分水嶺領域の脳梗塞に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 解剖・身体所見 ・椎体高位C4, 甲 […]

ブログ 質問回答 パート2

前に質問受付をしていましたので(こちら)そこでの質問からまたいくつか回答させていただきます。不定期になってしまい申し訳ございません。 質問「いつも拝見しております。どの記事を見てもエビデンスが豊富で、実習・勉強に参考になっています。 質問なのですが、これだけのエビデンスを先生はどうやって集められているのですか?医学情報、文献の集めかたを教えて頂きたいです。」 以下小生の回答 ご質問大変ありがとうご […]

脂肪塞栓症 FES: fat embolism syndrome

知らないと鑑別に挙げることができない疾患の代表で、私はよく鑑別から漏らしてしまい先日も寝る直前に「あっあの今日コンサルトをもらった患者さんは脂肪塞栓症では・・・?」と思ったことがあります。 機序 骨折や整形外科手術により骨髄内の脂肪が血液中に放出され、脂肪が物理的に塞栓症を引き起こす”mechanical theory”と、生化学的な機序の”biochemica […]

脳梗塞と関連性のある薬剤

先日glioblastomaに対してbevacizumab投与中の患者さんが脳梗塞になってしまいコンサルテーションとなりました。自分は恥ずかしながら知らなかったのですが、bevacizumabは脳梗塞リスクとして有名な薬剤のようです。薬剤と脳梗塞の関連性に関して調べた内容をまとめました(Stroke. 2021;52:00–00. DOI: 10.1161/STROKEAHA.120.033272 […]

後脊髄動脈梗塞

脊髄梗塞の中でも後脊髄動脈(PSA: posterior spinal artery)領域の梗塞は「かなりまれ」で報告も限られています(脊髄梗塞全般に関してはこちらをご参照ください)。画像上後脊髄動脈領域を描出することが難しいこともありますし、そもそも後脊髄動脈は血管が這うように分布しており虚血に陥りにくい点(下図参照)などが挙げられます。最近久しぶりに自験例があり(私は今まで2例確定診断例があり […]

CAA: cerebral amyloid angiopathy 脳アミロイド血管症

本記事はかつて一緒に働かさせていただいたY先生が作られた資料を多く引用させていただき作成しております。Y先生引用に関してご快諾いただき大変ありがとうございました。 病態 ・軟髄膜の血管にAβが沈着し血管が破綻することで皮質下出血/皮質~皮質下境界領域の出血(特に後頭葉・側頭葉主体)や円蓋部くも膜下出血を呈することが特徴です(CAAではAβ40が、アルツハイマー型認知症ではAβ42の沈着が主体になる […]

化膿性脊椎炎 vertebral osteomyelitis

脊椎に起こる骨髄炎(osteomyelitis)を一般的に「化膿性脊椎炎」と称することが多いです(「椎体炎」と呼ばれる場合もあります)。整形外科医のみならず内科医にとっても非常に重要な疾患なので勉強した内容をまとめます。 起炎菌 ・最多は黄色ブドウ球菌とCNSです。以下にまとめます。 Common 50% less common25% rare-5% S.aureusCNS 連鎖球菌腸球菌GNR( […]

超高齢心房細動患者さんへの低用量エドキサバンに関して ELDERCARE-AF study

超高齢の心房細動患者さんに対して抗凝固薬をつい出血リスクから躊躇してしまうことが多いかもしれませんが、低用量のDOACは効果があるのか?という臨床的な疑問に答える臨床研究が”ELDERCARE-AF”studyです(引用:N Engl J Med 2020;383:1735-45.)。日本で行われた研究ということもポイントです。通常のDOACに関してはこちらにまとめがあるの […]