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帯状疱疹ウイルス感染症

水痘ウイルスは初感染後、後根神経節または脳神経節に潜伏しておりそれが再活性化することでその潜んでいた神経節(脳神経節)の解剖分布に沿った領域に症状を呈します。免疫抑制状態や加齢により頻度が増加することが特徴です。日常臨床で非常によく遭遇するため十分に理解することが必要です。

臨床像

一般的な帯状疱疹疼痛(ぴりぴり)が皮疹に先行することが多く(75%)、疼痛だけの段階では診断が難しい場合も多です。片側のデルマトームに沿った解剖分布という点がなによりも重要です。疼痛ではなく「かゆみ」と表現する場合もあります。
・皮疹は「紅斑→水泡形成→膿→痂疲形成」の経過をたどり、痂疲形成の段階では感染性はないと考えられています(また痂疲化している状態に抗ウイルス薬は効果ないとされています)。
*一般的には臨床診断で十分ですが、明らかではない場合はTzanck試験、VZV抗体などを行います。

播種性帯状疱疹:免疫抑制者で複数領域にわたる帯状疱疹を認める場合で、感染予防策として空気感染対策が必要となる点に注意が必要です。

*参考:空気感染対策が必要な感染症 結核・水痘・麻疹・播種性帯状疱疹

脳神経合併:Ⅴ領域の障害の他にも、Ⅶ・Ⅷの障害(Ramsay Hunt症候群)や多発脳神経麻痺を呈します。V1領域の障害は角膜に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要で眼科コンサルテーションが必要です。こちらにまとめがあるためご参照ください。

中枢神経合併:髄膜炎・脳炎の原因として重要です。こちらにまとめがあるためご参照ください。

治療:抗ヘルペス薬

アシクロビル静注が必要な状況

1:播種性帯状疱疹
2:中枢神経合併症
3:眼神経(三叉神経Ⅴ1領域)帯状疱疹→眼科コンサルテーション必要
4:免疫抑制者

(処方)アシクロビル 10mg/kg q8hr点滴静注 * 腎機能投与量調整必要  アシクロビルは投与にあたって注意点が複数あるためこちらの記事もご参照ください(アシクロビル脳症に関してはこちら)。

その他の通常の帯状疱疹の治療(外来治療可能)→内服

バラシクロビル 1000mg 1日3回 7日間 *腎機能投与量調整必要
ファムシクロビル 500mg 1日3回 7日間  *腎機能投与量調整必要
アメナビル 400mg 1日1回 7日間

眼病変に対して→眼軟膏

アシクロビル眼軟膏3% 1日5回塗布

予防・ワクチン

以下2種類のワクチンが存在します。

1; ワクチンに関して乾燥弱毒生水痘ワクチン:生ワクチン・50歳以上・単回摂取

2; 乾燥組み換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス®):不活化ワクチン・50歳以上・2回摂取(高価)

*地方自治体によって助成金対象となる場合もあるため確認

参考文献
・N Engl J Med 2013;369:255-63. 帯状疱疹の最も有名なreviewで臨床医は必読