肥厚性硬膜炎 hypertrophic pachymeningitis
病態・原因 髄膜は硬膜、くも膜、軟膜に分けられますが、ここではこのうち硬膜に主病変がある肥厚性硬膜炎を取り上げます。硬膜病変へのアプローチ一般に関してはこちらにまとめましたので、ご参照ください。 感染症は肥厚性硬膜炎の原因としては現代は比較的まれだとされています。 自己免疫関連ではGPA(多発血管炎性肉芽腫症)が原因として最も多いと報告されており、側頭動脈炎・サルコイドーシスも重要な原因となります […]
病態・原因 髄膜は硬膜、くも膜、軟膜に分けられますが、ここではこのうち硬膜に主病変がある肥厚性硬膜炎を取り上げます。硬膜病変へのアプローチ一般に関してはこちらにまとめましたので、ご参照ください。 感染症は肥厚性硬膜炎の原因としては現代は比較的まれだとされています。 自己免疫関連ではGPA(多発血管炎性肉芽腫症)が原因として最も多いと報告されており、側頭動脈炎・サルコイドーシスも重要な原因となります […]
私は今まで同脳炎の患者さんを2例主治医として診させていただいた経験がありますが、毎回非常に悩み、印象に深く刻まれる経験をさせていただきました。Dalmau先生によって2007年に同脳炎12例の報告されてから(Ann Neurol 2007;61:25)、その特徴的な臨床像もあいまって現在は認知度がかなり上がっている脳炎です。Dalmau先生が発表された当初は「卵巣奇形腫に合併する脳炎」という認識で […]
今まで原因不明の脳炎とされてきたものの中に自己免疫性脳炎が多く含まれていることが分かり、抗NMDA受容体脳炎をはじめとして多くの自己抗体とそれに対応する病態が解明されてきました。ここでは自己免疫性脳炎の全体像を解説します。過去にNEJM, Lancet Neurologyに素晴らしいreviewがあるため、そこから多く引用させていただきました。 病態 ■細胞表面抗原と細胞内抗原の違い 自己免疫性脳 […]
病態 神経梅毒は梅毒のどのフェーズでもありえます(梅毒の既感染がなく神経梅毒だけ単独で発症することはありません)。Treponema pallidumが中枢神経に侵入すると、免疫系がTreponema pallidumを排除する場合もあれば、排除できない場合もあります。このように免疫系が排除できない場合に神経梅毒を併発することがあります。 持続性の感染が症状を起こすのは早期合併症と晩期合併症があり […]
再発性髄膜炎は最低2回の細胞増加を伴う頭痛、発熱、髄膜刺激徴候(間欠期に寛解している)と定義されます。実臨床でもよく遭遇するため、ここでは再発性髄膜炎に関しての素晴らしいreview”Curr Pain Headache Rep 2017;21:33″の内容をまとめます。 鑑別 再発性髄膜炎の鑑別は1感染症、2悪性腫瘍、3良性腫瘍、4薬剤性、5自己免疫性の大きく5つのカテゴ […]
髄膜炎の鑑別で話題に挙がったテーマでありまとめます。以下はすべてNeurology® 2016;87:1171–1179によるものです(おそらく最も人獣共通感染症の髄膜炎をまとめたreview)。図・Figure/Tableが素晴らしいため、ほぼ張り付けただけで申し訳ございません。 細菌性髄膜炎のうち人獣共通感染を起こす菌が原因となることは1%未満、Streptococcus suisとLepto […]
病態 結核性髄膜炎は全結核の約1%を占め、全年齢に起こりますが特に小児やHIV未治療の患者さんに多いとされています。結核性髄膜炎ではCSF内の菌量は100~1000コロニー/mLを超えることはまれで、菌量ではなく宿主の免疫反応が組織障害の程度を規定するとされています。 結核性髄膜炎がどのように引き起こされるか?その機序はいまだ完全には解明されていません。結核菌は血液からBBBを超えて、ミクログリア […]
教科書で無菌性髄膜炎と調べると必ず、薬剤性:NSAIDsと記載があります。認知はされているけれど、「NSAIDs髄膜炎の特徴は何か?」と質問されると答えに窮するため調べた内容をまとめます。 以下の内容はイブプロフェンによる無菌性髄膜炎36人の71エピソードをまとめたもので、Medicine 2006;85:214より参照しました。NSAIDs髄膜炎の報告はそのほとんどが、イブプロフェンによるもので […]
0:はじめに 細菌性髄膜炎は市中感染症の中でも最もemergencyな疾患であるが、3次救急を扱う総合病院でも1か月1例はないような稀な疾患である。稀な疾患ではあるが、医療者が出来る予後を改善する唯一の方法が素早い治療介入であり、その臨床像をつかむことと、初期対応に関して習熟することは極めて重要である。 1:臨床所見・臨床像 「細菌性髄膜炎」の臨床像を表現すると、「発熱」、「頭痛」、「意識障害」の […]