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人獣共通感染症による髄膜炎

髄膜炎の鑑別で話題に挙がったテーマでありまとめます。以下はすべてNeurology® 2016;87:1171–1179によるものです(おそらく最も人獣共通感染症の髄膜炎をまとめたreview)。図・Figure/Tableが素晴らしいため、ほぼ張り付けただけで申し訳ございません。

細菌性髄膜炎のうち人獣共通感染を起こす菌が原因となることは1%未満、Streptococcus suisとLeptospiraを除くとそれぞれの菌は100例もケースレポートがないですが、実際にはunderreportedな可能性もあります。特に地域性、動物を扱う職業歴の把握が重要です。

動物との接触歴が最も重要ですが、Leptospiraは直接動物との接触歴がないですし、Streptococcus suisは食事歴が重要といった例外もあるため注意です。

人から人への感染は基本的にありませんが、Q fever, bovine tuberculosis, C fetusは報告があるようです。医原性の感染としては免疫抑制者(腫瘍・HIV)へのM bovisのBCG注射が報告されています。

動物ごとの菌

起炎菌と疫学

臨床症状

基本的な症状は通常の細菌性髄膜炎と同じですが、意識障害を呈する頻度は人獣共通感染症起炎菌の方が少ないとされています。例外はB anthracisでこれは、意識障害を呈するとされており注意が必要です。

全身感染(systemic infection)に髄膜炎を合併するものとしてはLeptospira(全体の20%)、Brucella(全体の5%), C burnetii(全体の1%)が挙げられ、稀なものとしてB henselae(多くは網膜炎を合併), F tularensisが挙げられます。。

髄液検査結果

B anthracisによる髄膜炎は出血を起こし、くも膜下出血と間違えられる場合もあるようです。

C canimorsus, Leptospira, C burnetii, B henselae, nontuberculous mycobacteriaは通常培養検査は陰性です。

治療方法

以上人獣共通感染症による髄膜炎をまとめました。時折鑑別で挙がる場合があるため(とくに渡航歴がある場合)参考になればと思います。