“Cingulate sulcus sing”は本日チームカンファレンスで後輩の先生から教えてもらったiNPH(正常圧水頭症)で有用な画像所見です(私恥ずかしながらこの所見を知りませんでした・・・)。日本からの報告(Radiat Med (2006) 24:568–572)を掲載させていただきます。
この研究は21人の健常者、10人iNPH、11人AD、5人PSP患者(いずれも診断は病理診断ではなく、臨床診断)の頭部MRI画像検査を比較検討したものです。T1 sagittal像で通常は帯状溝(cingulate sulcus)が後方>前方で広い傾向にありますが、iNPHでは後方が狭くなり、前方>後方で広い傾向にある”cingulate sulcus sign”を提唱しています(下図参照)。これはiNPHに関して感度100%であったとのことです(先ほど述べた通りn数はそこまで多くないですが)。iNPHを疑う際に有用な所見と思います。高位円蓋部の脳脊髄液体積が少ないことと関係しているのでは?と考察されています。
この論文ではこれだけでなく、PSPで教科書的に有名な中脳被蓋の萎縮(下図参照)に関しても検討しており、これは他疾患でも認める場合があり必ずしもPSPに特異的な所見ではないことを指摘しています。iNPHは7/10例、ADは5/11例、PSPは3/5例、コントロールは0/21例でこの所見を認めたとされています。