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脳梗塞 急性期内科管理まとめ

再灌流療法(rt-PA, 血栓回収療法)に該当しなかった場合、脳梗塞は内科管理をしますが、そこでの要点をまとめます。細かい各論はリンクを掲載しているのでそちらをご確認ください。

抗血栓薬

非心原性脳梗塞の場合

抗血小板薬

・急性期の抗血小板薬アスピリンまたはクロピドグレルを用いる
クロピドグレルは必ずloadingする
DAPT(アスピリン+クロピドグレル)またはSAPT(アスピリン or クロピドグレル)
DAPTの適応:発症24時間以内のTIA (ABCD2 score≧4点以上) or 軽症非心原
性脳梗塞(NIHSS<4点)

*管理人の意見としては様々なstudyにより適応は拡大してきており、厳密にとらわれる必要はない

処方例):アスピリン(バイアスピリン®)100mg 2~3 錠 (=200~300mg)+ クロピドグレ
ル(プラビックス®)75mg 4 錠(=300mg)内服

シロスタゾール(プレタール®):出血リスク高い症例で慢性期に使用する場合あり(副作用として頻脈と頭痛に注意)
プラスグレル(エフィエント®):処方しない
・オザグレル:内服できない状況(嘔吐など)で使用を検討(内服可能な状況で優先的に使うことはない)

抗凝固薬併用(DAPT+アルガトロバン)

アルガトロバン:BAD,アテローム血栓性に対して使用(特に症状変動や増悪,不安定である場合)

処方例)
1(持続投与):アルガトロバン60mg(=12mL) + 生食36mL (=計48mL) 2mL/hrで持続静注(計48時間)
↓その後
2(間欠投与):アルガトロバン10mg + 生食100mL 3時間かけて点滴静注 1日2回(計5日間)

心原性脳梗塞の場合

抗凝固薬DOAC>ワルファリン *ヘパリンは使用しない
・機械弁,腎機能障害はワルファリンを選択するが,それ以外は基本DOACが第1選択
*透析の心房細動患者における抗凝固薬の有用性は確立していない(こちら
導入時期定まった基準はなく症例ごとに検討必要

全身管理

・脳梗塞の急性期管理では抗血栓療法を導入するだけで満足せずに,集学的な全身管理が重要.
・ただ抗血栓療法以外の介入は, そのほとんどが「神経学的予後と相関関係はあるけれど, 介入によって神経学的予後を改善するという因果関係は示せていない」.
・ただこれはあくまでも各要素を 1 つ取り上げた場合の議論であり, 複数の要素を同時に集学的に管理することで神経学的予後を改善する余地は残されており,これこそが集学的管理の意義と考える.

体液量管理

脱水状態は是正する(volume overloadにする必要はない)
低張輸液は避ける(脳浮腫助長するリスクがあるため)→使用するなら細胞外液
・膠質液投与により神経学的予後改善は示されていない

例)入院当日はとりあえず細胞外液500mL点滴投与(もちろん心不全などないことが前提ではあるが)

血圧管理

急性期の降圧は避ける(220/120mmHgを超える場合は例外)
もともと内服していた降圧薬は急性期一度中止(β遮断薬以外)
・いつから降圧管理を開始するか?:少なくとも神経症状が不安定である期間に開始することは避ける

例)症状安定かつ発症から1週間程度経過したところで降圧薬再開

*Penumbraでは脳血流のautoregulationが破綻し体血圧依存性に脳血流が決まるため、血圧維持が重要

安静度・リハビリテーション

安静度やリハビリに関するエビデンスは十分ではなく、明確な基準はない(こちら)
・管理人の意見としては「神経症状が変動するアテローム血栓性やBADは慎重に離床をすすめるべき」である。以下はあくまでも一例であり、絶対的な正解があるわけではない。

例:アテローム血栓性、BADの場合)
入院当日:ベッド上臥床(排泄と食事のときのみ座位可)→入院翌日から2日後:座位可→入院3日後以降:付き添い立位~歩行可

例:心原性、発症から時間の経過したラクナ梗塞の場合)
入院当日:座位可→入院翌日:付き添い歩行可

血糖管理

血糖値 140-180 mg/dLに管理することを推奨(こちら

脂質管理

・非心原性脳梗塞の場合LDL<70-100 mg/dL以下の管理を目標にスタチン使用こちら

体温管理

・体温>38℃の場合, 背景の感染症などの原因検索に加えて, 解熱薬(アセトアミノフェンなど)による体温管理が推奨
*そもそも「発熱+多発脳梗塞」では感染性心内膜炎に注意する(血液培養の閾値は低く設定する)

深部静脈血栓症予防

IPC(間欠的空気圧迫法)を推奨(こちら
・弾性ストッキングは使用しないことを推奨

食事開始時期

・夜間入院の場合、翌朝の「朝食」は待ちの方が安全(夜間就寝中に神経症状が進行している可能性があるため)
・懸念がある場合は日中ST嚥下評価を経てから食事開始が望ましい

不穏時の対応

・抗精神病薬や眠剤を安易に使用すると誤嚥、窒息のリスクが上昇するため注意(もちろん必要になる状況も多々あるのではあるが)

外科的介入を考慮する状況

・症候性内頚動脈狭窄に対するCEA, CAS(こちら
・小脳梗塞での脳幹圧迫・第四脳室圧迫による水頭症に対する開頭減圧術
・広範囲な中大脳動脈梗塞に対する救命目的の開頭減圧術