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シロスタゾール cilostazol

作用機序

・PDE3阻害薬で、血小板内のcAMP濃度を上昇させ血小板の活性化を抑制する働きをします。PDE3は血管平滑筋にも存在し、PDE3阻害薬は血管拡張作用をもつことが特徴です。
・この血管拡張作用により慢性動脈閉塞症の第1選択、また日本では脳梗塞に対する適応があり、副作用の頭痛もこの血管拡張による機序が推測されています。

副作用

・シロスタゾールは代表的な副作用として頻脈頭痛の2つが特に重要です。
・頻脈は特に背景に虚血性心疾患がある場合、心房細動などの頻脈性不整脈がある場合は問題になるため心疾患が既往にある場合は基本的には使用しないようにします。

処方例

・頭痛も頻度が多い副作用ですが、経過で慣れが生じて問題なくなる場合もあります。使用量を50mg 2T2xと低用量から開始して数日経過をみて(例えば3日間)、問題なければ100mg 2T2xへ増量するという方法が有効です。一度頭痛があると辛くてもう飲みたくないとなってしまうので、出来れば低用量から増量するやり方が安全です。
・後述しますが臨床試験はすべて200mg/日での効果なので、100mg/日で投与していてもその効果が保証されている訳ではありません。副作用で100mg/日でしか継続困難なのであればシロスタゾールに固執するのではなく、他の抗血小板薬を検討した方が望ましいと考えます。

以下は脳梗塞2次予防に関しての臨床試験をまとめます。

単剤使用に関して

“CAIST Trial” Cerebrovasc Dis 2011;32:65–71

まとめ:非心原性脳梗塞に二次予防でのシロスタゾールはアスピリンに対して非劣性

・NIHSS中央値3点とかなり軽症が対象となっている点とラクナ梗塞が非常に多い(そもそも再発がラクナ梗塞は比較的少ない)点に注意 *そもそも脳卒中再発が3%と既報のstudyの8%くらよりも少ない
・primary outcomeが機能予後であり、再発を設定していない点が独特(これは当初シロスタゾールによる神経保護と出血合併症の結果としてどうか?を知りたいため)

“CSPS2″ Lancet neurol 2010;9:959

・非心原性脳梗塞の二次予防に関してシロスタゾールがアスピリンに非劣性であることを示した。
・特に今後よく引用されるのが出血合併症がシロスタゾール投与群でアスピリン群よりも有意に少なかった結果であり、この結果からよく「出血高リスク患者ではシロスタゾールを使用する」といいったpracticeがされている場合が多い印象を受ける。

サブグループ解析

2剤併用に関して

慢性期2剤併用 “CSPS.com” Lancet Neurol 2019; 18: 539

・再発リスクの高い血管リスク因子や主幹動脈狭窄を有する非心原性脳梗塞の2次予防においてシロスタゾール+アスピリン or クロピドグレル併用は単剤と比較して脳梗塞再発を有意に低下し、出血合併症は増加させない結果。

急性期2剤併用 J Am Heart Asoc 2019;8:e012652

・上記”CSPS.com”は慢性期の再発予防に関してであったが、急性期に関しては併用による効果乏しい結果。

ガイドラインでの記載

日本脳卒中ガイドライン2021

・「シロスタゾール200mg/日の単独投与や, 低用量アスピリンとの2剤併用投与は, 発症早期(48時間以内)の非心原性脳梗塞患者の治療法として考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)」

・AHA/ASA GUIDELINE “2021 Guideline for the Prevention of Stroke in Patients With Stroke and Transient Ischemic Attack” Stroke. 2021;52:e364–e467.

Large arteryに関して
・”In patients with stroke or TIA attributable to 50% to 99% stenosis of a major intracranial artery, the addition of cilostazol 200 mg/day to aspirin or clopidogrel might be considered to reduce recurrent stroke risk.” COR2b, LOE C-LD
・”In patients with stroke or TIA attributable to 50% to 99% stenosis of a major intracranial artery, the usefulness of clopidogrel alone, the combination of aspirin and dipyridamole, ticagrelor alone, or cilostazol alone for secondary stroke prevention is not well established.” COR2b LOE C-EO

Small Vessel diseaseに関して
・”In patients with ischemic stroke related to small vessel disease, the usefulness of cilostazol for secondary stroke prevention is uncertain.” COR2b LOE B-R