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COVID19 私たちに何が出来るか? 日常生活編

ここでは医療従事者でない方々向けに昨今のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症:日本ではこの呼称での報道が多いので以下「新型コロナウイルス感染症」と表記します)に関して、日常生活で何を気を付ければよいかに関してまとめました。

1:新型コロナウイルスって何?

新型コロナウイルス感染症はその名の通り「ウイルス」による感染症です。人間に感染する病原体は大きくわけると「ウイルス」「細菌」の2つに分類されます。ここでウイルスの特徴を細菌と比較しながら解説します。

細菌は例えば黄色ブドウ球菌や大腸菌というもので、環境中で人に感染せずとも1人で生きていくことが出来ます。細菌感染症の治療は抗菌薬(抗生物質)を使用します。例えば黄色ブドウ球菌も大腸菌もセファゾリンという1つの抗菌薬で治療することができます

ウイルスは厳密には生物ではなく、誰かに寄生して増殖することで生き延びます。ウイルスの治療で難しい点は細菌と異なり基本的にウイルスそれぞれに対して治療薬が必要だということです(オーダーメイドの治療薬が必要ということです)。例えば、ヘルペスウイルスにはアシクロビル、インフルエンザウイルスにはオセルタミビル(タミフル®)といったようにそれぞれオーダーメイドの治療薬が必要で、全てのウイルスに効く薬というのは存在しません。 抗菌薬(抗生物質)は細菌にしか効果がないため、ウイルスには全く効果がありません。

前置きが長くなりましたが、今回の新型コロナウイルスも基本的にウイルス一般に共通する上記の特徴を持っています。人に寄生することで生き延びることができ(ウイルス単独では生き延びることが出来ない)、抗ウイルス薬はまだ存在せず(新規にオーダーメイドの開発が必要)、抗菌薬(抗生物質)は効果がありません。

新型という言葉を聞くと、「何か凶暴なもの」、「恐ろしいもの」というイメージを持たれるかもしれませんが、このように特殊な能力を取得したウイルスという訳ではなく、我々人類がまだ免疫を持っていないという意味で新型だということです( 元々コロナウイルスは風邪をおこすウイルスとして存在していました) 。このように一般的なウイルスの特徴をもっているので、対策も一般的なウイルスと同じところが多いです。では新型コロナウイルスはどのように感染し、どう対策すればよいかをこれから解説します。

2:新型コロナウイルスはどのように感染するのか?

ここでウイルス感染を「たんぽぽ」に例えて考えてみます。たんぽぽの種子は「風」に乗って運ばれることで別の場所に移動することができ、そこで育ちます。たんぽぽの種子は自ら地面を這って動いて別の場所に移動することは出来ません。

ウイルスもこれと同様に、自分自身で地面を這って感染を広めることは出来ません。たんぽぽでの「風」が種子を運ぶように、ウイルスは「人間」が運びます。風がなければたんぽぽの種子は運ばれないように、人間が動かなければウイルスは運ばれません。これは後での人混みを避ける・外出を自粛することと深く関係があります。

また、たんぽぽは風に乗って「土(つち)」に運ばれないと育つことは出来ません。人工的なアスファルトやビルの壁で育つことは出来ません。ウイルスも人間のどの部位でも侵入出来る訳ではなく、「粘膜」に付くとそこから侵入することが出来ます(たんぽぽの土に対応します)。粘膜にウイルスが到達する方法は2つあり飛沫感染接触感染です。

飛沫感染は感染している人が話す・くしゃみをする・咳をすることでウイルスの飛沫(ウイルス+水蒸気)が飛び、それが別の人の粘膜に付着することで感染します。この飛沫は2m以内で落下するため、2m以内だと直接飛沫をかぶる可能性があります。

接触感染はウイルスが付着した手で粘膜(眼・鼻・口)を触ることでウイルスが体に侵入する方法です。

3:日常生活で僕たちに何が出来るか?

これまで新型コロナウイルスが飛沫感染と接触感染で感染することを解説しました。それぞれをどのように日常生活で防ぐことが出来るのか?をこれから解説します。

■接触感染を避けるには?:①手洗い・アルコール消毒

ウイルスのまわりには脂肪(油)があります。ここを破壊することでウイルスを倒すことができます。そのためにするのが、手洗い(特に石けんを使用)・アルコール消毒です。

手洗いは結局油を落とすのと同じなので石けんを使用した方がよいのと、物理的に落とすために最低20秒は手洗いをすることが重要です。

しかし、出かけ先などいつでもすぐに水道で手が洗える訳ではありません。ここでは手指のアルコール消毒をします。アルコール濃度は60%以上あることが必要です(普通のお酒はアルコール濃度が低すぎるため意味なし)。

■接触感染を防ぐには?:①顔を触らない

先ほども少し解説しましたが、ウイルスは「粘膜」から侵入してきます(普通の皮膚を通り抜ける能力はありません)。人間の体で具体的には「目」・「鼻」・「口」の3か所が重要です。一方でウイルスが自分のなかで最も付着している可能性が高いのは「手」です(ドアノブ・硬貨・電車のつり革などを触って)。なので、もちろん上記の手洗い・アルコール消毒が最も重要ですが、それと同時に手で目・鼻・口を触らないことが重要です。

鼻・口を触るのは多くの場合幼少期からのくせなので、無自覚なことが多いので注意です。 マスクは不用意にこれらに触らない効果がある程度あります。

特に注意が必要なのは、コンタクトレンズを使用している方で、コンタクトレンズを入れる際には指が目の粘膜にふれる可能性が高いため注意です(かならずしっかり手を洗ってからにしましょう・もしくはいっそのこと眼鏡にしてしまう)。

■飛沫感染を避けるには?:人混みを避ける

ウイルスの飛沫は感染している人が話す・くしゃみをする・咳をすると飛びますが2m以内までで落下します。このため飛沫感染を防ぐためには人と人が最低2m距離をとることが必要です。

人の動きあるところにウイルスがあります。この流れを強制的に遮断する方法が、現在行われている外出自粛要請です。自宅で過ごすことで最低限の外出を防ぐことでウイルスが人から人へと乗り換えていくことを防ぐことが出来ます。

また飛沫感染を防ぐためには、3つの密(密閉・密集・密接)を避けることがここで重要になってきます。

■人に移さないためには?:咳エチケット

マスクは自分が咳やくしゃみをする場合に飛沫を飛ばしてしまうことを防ぎます。マスクの効果に関しては報道で様々な議論がありますが、まとめると
1:自分が感染しないためにはあまり効果はないかも(口・鼻を無意識に触らないことには効果ある)
2:自分が感染しているかもしれない場合(無症状でも感染している可能性があります)、人に移す確率を下げることができる(いわゆる「咳エチケット」)
となるかと思います。

マスクに関して注意点は
1:マスクをしていれば手洗いをしなくていい訳ではない(手洗いは常に最も重要)
2:マスクを触った後はきちんと手洗い(ウイルスが付着している可能性があるため)
3:マスクはきちんと洗う(他の衣類と一緒で問題なし)
という点です。
「マスクをしているから手洗いをしない」は絶対ダメということを強調させてください。マスクをしていても手洗いはするし、マスクをしていなくても手洗いはします。「マスクしているから大丈夫」ではないのです!マスクを過信しすぎないことが重要です。

ここまで基本的な日常生活で出来る新型コロナウイルス感染症対策を解説しました。逆にここに載せていない項目は効果は十分に実証されていないと思っていただいて大丈夫です。〇〇を食べるとコロナウイルスにかかりにくい、〇〇予防接種を受けるとかかりにくいらしいなどなど不確かな情報があふれています。難しいことは必要ではなく、基本に忠実に対策をしていれば十分社会貢献することが出来ます。

最後に上記の注意点を一枚の紙にまとめました。もしよければご参照ください。