側頭葉てんかん TLE(temporal lobe epilepsy)
内側側頭葉てんかん MTLE
焦点てんかんの原因として最多
背景:海馬硬化症が代表的
・IPI(initial precipitating injury)(熱性けいれん重積・外傷・低酸素脳症・中枢神経感染症など)を乳幼児期に既往が多い
→6か月~30年の潜伏期間を経てFIAS初発 *発症年齢はほとんどが20歳未満(平均10歳)
臨床像 FIAS *症状にフェーズがある点が特徴的
前兆:上腹部上行性の不快感(rising sensation/epigastric(abdominal) aura)・精神性前兆・自律神経性症状 *前兆をきちんと問診することが重要
→一点凝視・動作停止
→自動症(口部・身振り(distal automatism))まわりを意味もなくさわる
→発作後もうろう状態
*対側上肢にジストニー様肢位(基底核へ波及)
*発作の起こる時間帯はさまざま
*側頭葉由来のaura
内側:abdominal, psychic, affective, gustatory olfactory, autonomic, complex hallucinations
外側:auditory, vertiginous めまい, somatosensory
脳波
・TIRDA(temporal intermittent rhythmic delta activity)は発作間欠期てんかん性放電と関連がある
*aborted spike and wave complexの可能性が高い所見(あくまでも解釈)
*レヴィ小体病で認める場合もあるとされている
*一般的にRDAを限局的に認める場合はてんかん性の可能性がある(RDAはspike成分が減衰したaborted spike and wave complexの可能性がある *即てんかん性放電とは断定できない)
*ただFIRDA(frontal intermittent rhythmic delta activity)はてんかん性とは限らない→脳深部の病変いろいろ非特異的(代謝性・中毒性脳症)
治療
・抗てんかん薬に抵抗性の難治性多く、てんかん外科手術が最も効果的である(てんかん外科において最も治療成績が良い病態)
外側側頭葉てんかん
TLE全体の約10%程度
背景:脳腫瘍・皮質形成異常などの病変
臨床像:精神性の前兆が多い 発作持続時間は短い・FBTCSに移行しやすい
前頭葉てんかん FLE(frontal lobe epilepsy)
側頭葉てんかんに次いで多い焦点てんかん
臨床像
ポイント:発作時間が短い・発作が群発する・睡眠中が多い・発作後もうろう状態が目立たない
焦点間代発作
*一側に限局した間代発作 間代→強直は一時運動野から補足運動野へ伝播を示唆する
*前頭弁蓋部に波及すると流涎・喉頭症状・言語停止などを認める
*前頭眼野へ波及すると眼球・頭部のversionを呈する
*発作後にTodd麻痺を呈する場合ある
焦点強直発作(姿勢発作)
*両側性の非対称性
*焦点同側上肢の肘屈曲/肩外転+対側へ頭部偏移+上肢伸展挙上=フェンシング肢位
過運動発作 SHE(sleep-related hypermotor epilepsy)*こちら参照
*四肢の近位部体幹部を激しく動かす、腰を突き出す ictal fearを訴える場合もある
参考:部位と症状の対応関係
・運動皮質:FAS
・補足運動野:焦点強直発作(姿勢発作) 発声・言語停止・フェンシング肢位
・帯状回:FIAS 自律神経症状
・前頭極部:向反(version)・焦点の対側への回旋・体幹の間代・転倒など
脳波所見:1/3以上はてんかん性放電を認めない
*前頭部は脳梁で左右への電気連絡が起こりやすいため、両側性に出現している場合は左右どちらが焦点か?(側方性)は言及できない
頭頂葉てんかん PLE(parietal lobe epilepsy)
疫学:頻度が低い
臨床像:体性感覚の発作症状
脳波:てんかん性放電検出少ない *頭蓋内脳波記録が必要なことが多い
参考:てんかん専門医ガイドブック