以下の内容は素晴らしいてんかん患者さんの睡眠障害review Epilepsy Behav 2021 Oct 4;124:108341. を参照にして記載させていただいております。
てんかんと睡眠障害
・睡眠障害は健常人と比較して約2倍多い *参考文献:Sleep Med Rev 2011;15:357–68.
・てんかん患者の約1/3が睡眠障害を訴える 成人てんかん患者では~50%で不眠あり
・てんかん患者の10~35%でOSA(obstructive sleep apnea)を合併する
*video-EEGモニタリング+PSGでも中等度以上のOSAを26%に認める
*OSA自体がseizure再燃リスクにもなり(高齢者 Neurology 2007;69:1823–7.)、CPAPにより発作頻度を減少した報告あり Epilepsia 2011;52:e168-171.
・日中眠気 11~34%, RLS(restless legs syndrome) 13%
・睡眠不足は発作頻度増加 58
SUDEPに関して
・SUDEPの約2/3は夜間就寝中に起こり、特に寝室に1人に時に多い Neurology 2020;94:e419–29.
*夜間GTCS・寝室1人がリスクである
・SUDEPの~70%は腹臥位の状態で亡くなられてしまう*呼吸障害と関係があるのかもしれない
抗てんかん薬の睡眠への影響
・抗てんかん薬の睡眠への影響は客観的に評価しづらい(通常自覚症状での評価となるため)
・日中眠気はカルバマゼピン、フェノバルビタール、バルプロ酸で多く、特に高用量や多剤併用で多い
・レベチラセタム、トピラマート、ゾニサミド、ラコサミドはまだデータ乏しい
・ラモトリギン、ガバペンチン、プレガバリン、ペランパネルは睡眠への良い影響も指摘されている
・ラモトリギン:REM睡眠上昇・過去の試験では不眠と関係あるとされていたがEpilepsia 1999;40:322–5.近年の研究では関係ないとされている
*参考:各抗てんかん薬の睡眠への影響まとめ Epilepsy Behav 2021 Oct 4;124:108341.
睡眠総時間 | 睡眠潜時 | 中途覚醒 | N1 | N2 | N3 | REM | 覚醒 | 改善 | 悪化 | |
CBZ | ↑ | ↓ | ↑ | RLS | ||||||
VPA | ↑ | ↓ | OSA | |||||||
LTG | (↑) | (↓) | (↑) | 不眠 | ||||||
LEV | ↑ | ↓ | ||||||||
LCM | ↓ | |||||||||
PER | ↓ | ↑ | 不眠, RLS |