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睡眠関連てんかん

睡眠関連てんかんについて勉強した内容をまとめていきます。

Sleep-related hypermotor epilepsy: SHE 睡眠関連運動亢進てんかん

旧名: nocturnal frontal lobe epilepsy(NFLE) 夜間前頭葉てんかん 1981年
名称の変更 理由1:夜間という時間帯ではなく睡眠が関係している点、理由2:前頭葉以外を起源とする場合もある点、理由3:運動症状が特徴的である点

疫学:焦点てんかん・まれ(1.8/100,000)・年齢は小児~青年期が多い(何歳でもありうる)
・原因は多くの場合不明 ・器質的な原因(forcal cortical dysplasiaなど)や遺伝的原因もある ・臨床的情報からetiologyの鑑別は困難

臨床像
発作頻度は多い(毎晩や一晩に何回も認める場合 clusteringがある)・NREM睡眠中(REM睡眠中にはまず起こらない)・知能は正常(除外基準ではない)
1:2分未満の発作(毎回同じ様式)が繰り返し起こる(発作の始まりと終わりが突然)
2:過運動発作
3:就寝中に起こる(覚醒時に起こる場合もごくまれにある)

脳波
・長時間ビデオ脳波やPSGが最も分かりやすい
・発作間欠期脳波でてんかん性放電を指摘できない場合もあるためそれだけで否定はできない
・前頭葉以外の部位を起源として発作が起こる場合もある

診断基準:Epilepsia. 2022 Jun;63(6):1443-1474.

必須項目警告項目除外項目
てんかん発作短時間の過運動発作 非対称性の強直/ジストニア覚醒時に多い覚醒時のみ 全般性発作
脳波前頭葉以外を起源とした頻回なてんかん性放電 全般性てんかん性放電
発症年齢<10歳 or >20歳<2か月 or >64歳
発達知能障害
神経学的所見神経学的巣症状

・MRIは診断に必須ではなにが器質的疾患除外のため実施するべき
・発作時脳波は診断に必須ではない

治療
・カルバマゼピン治療抵抗例約1/3に認める Brain 1999;122:1017–1031.
→抗てんかん薬の反応性だけをもって診断することは難しい 

SUDEP
・0.36/1000人年:その他のてんかんより高くない Sleep Med 2015;16:232–236.
→夜間発作がSUDEPではリスクにも関わらずこの結果は注目すべき点であり、SHEがGTCS頻度が低いことを反映しているかもしれない

参考文献:Neurology ® 2016;86:1834–1842

JME

・起床直後に発作を認めることが特徴です
こちらを参照ください

参考
・てんかんと睡眠インターネットライブセミナー2023年1月30日 東北大学医学部てんかん学分野 神一敬先生講演