PCSK9阻害薬

1:生理・作用機序

PCSK9は”Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type9″の略で、2003年に発見され、フランスの家族性高コレステロール血症患者がPCSK9を過剰発現していることが分かり脂質異常症におけるターゲットとして注目されるようになりました。

PCSK9は肝臓のLDL受容体を分解する働きをします(下図)。LDL受容体は普段血中のLDLを回収する働きをしているので、PCSK9によってLDL受容体が分解されると血中LDL濃度は上昇します。

細胞内コレステロールが低下すると、SREBP-2という転写因子が活性化し、LDL受容体発現を増加させることで細胞内にコレステロールを取り込もうとし、同時にPCSK9の産生が誘導されることでLDL受容体が過剰に発現しないようにバランスをとっています。スタチンは血中LDL濃度を低下させますが、同時に細胞内コレステロールも下がってしまうため、説明した機序でPCSK9の産生が誘導され効果が一部相殺されてしまいます。

PCSK9阻害薬(モノクローナル抗体)は、このPCSK9を阻害することで肝臓のLDL受容体の分解を阻害し、LDL受容体が再利用されることで血中LDLを細胞内に取り込み血中LDL濃度を下げる働きがあります。スタチンの使用によってPCSK9発現が亢進してしまうのをPCSK9阻害薬が阻害することで、相乗的な効果が期待されます(この機序からわかるように基本的にはスタチンの併用が推奨されます)。

2:製剤

国内で承認されているのは以下の2種類です。

一般名:エボロクマブ(evolocumab) 商品名:レパーサ® 製剤:140mg 皮下注シリンジ

一般名:アリロクマブ(alirocumab) 商品名:プラルエント® 製剤:75mg, 150mg 皮下注ペン

家族性高コレステロール血症または高コレステロール血症で、心血管イベントの発現リスクが高くスタチンで効果不十分な患者で、いずれも2~4週間に1回皮下注射で投与します。非常に高価なので注意。

参考文献
・Annu. Rev. Med. 2018. 69:133–45

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