高齢発症てんかん Epilepsy in the elderly
「てんかん」というと患者さんの多くも「子供の病気」というイメージを持っておられる方が多いですが(ご高齢の方に「てんかん」の病名を告げると多くの場合びっくりされます)、高齢者の神経疾患は1位:脳血管障害、2位:認知症、そして3位:てんかんと高齢者で非常に多い特徴があります。下図の様にてんかん発症頻度は2峰性であり、小児期と高齢者に多く認めます。 原因疾患 脳血管障害(最多)>腫瘍>アルツハイマー型認 […]
「てんかん」というと患者さんの多くも「子供の病気」というイメージを持っておられる方が多いですが(ご高齢の方に「てんかん」の病名を告げると多くの場合びっくりされます)、高齢者の神経疾患は1位:脳血管障害、2位:認知症、そして3位:てんかんと高齢者で非常に多い特徴があります。下図の様にてんかん発症頻度は2峰性であり、小児期と高齢者に多く認めます。 原因疾患 脳血管障害(最多)>腫瘍>アルツハイマー型認 […]
てんかんの言葉に関しては既に別のチャプターで解説していますが(こちらをご参照ください)、脳血管障害後の発作に関しては脳血管障害と発作の発症時期によって分類します(下図の分類も参考にしてください)。・急性症候性発作(acute symptomatic seizuresもしくは“early seizure“とも表現):脳血管障害発症の7日以内(文献により時期が違う場合あり)・非 […]
病態・分類 明らかな痙攣(convulsion)を呈さないてんかん重積である非痙攣性てんかん重責(NCSE)の存在は近年非常に有名になっており、救急領域でも知らない先生はおそらくいないと思います。認知は高まっていますが、個人的は注意点も多く感じます。 1:脳波検査を充分にせずにNCSEと判断する逆にあまりにもNCSEという言葉が有名になっているため「色々調べたけどよくわからなかったからきっとNCS […]
レベチラセタムは近年最も処方されるようになった抗てんかん薬でてんかん診療に慣れていない医師にとっても相互作用や副作用が少ない点から非常に処方しやすい薬剤です。その特徴に関してまとめます。 薬剤の特徴 一般名:レベチラセタム、商品名:イーケプラ® ■作用機序(下図参照)1:N型Ca受容体抑制、細胞内Ca遊離抑制2:シナプス小胞体放出抑制 代謝:腎臓(2/3)、肝臓(1/3)(CYPを介さない) 半減 […]
低体温療法 低体温療法は脳低温療法、TTM(targeted temperature management)など様々な用語が使用されますが、ここでは低体温療法という表現で統一させていただきます。てんかん重積の治療はもちろん抗てんかん薬(現病が自己免疫性脳炎の場合は免疫治療)が主体ですが、薬剤を最大限使用しても治療抵抗性の場合があり、その際に検討される治療法として低体温療法が挙げられます。用語の確認 […]
抗てんかん薬(AED: anti-epileptic drugs)と皮疹(薬疹)はきってもきれない関係にありますのでここでまとめます。 1:各薬剤の頻度 平均すると1つの抗てんかん薬の使用で2.8%に皮疹があるとされていますあり(2.1%は皮疹により中断)。以下はNeurology 2007;68:1701より引用よりさせていただきました。 ■皮疹が多い薬剤 ・フェニトイン(PHT) 5.9% […]
「これまでてんかんの既往がない患者が、発熱を契機に薬剤抵抗性の難治性てんかん重積をきたす症候群」が指摘されるようになり、近年ではこれをまとめて“NORSE(new-onset of refractory status epilepticus)”と総称しています(元々発症年齢により名称が違っていました)。Ann acad med singapore 2005;34:417で初 […]
1:病態 ほとんどの抗菌薬(ペニシリン系・セファロスポリン系・カルバペネム系・フルオロキノロン系)が、神経抑制系のGABA受容体を阻害することで興奮系に傾くことでてんかん発作の閾値が下がる機序が推定されています。 カルバペネム系はこのほかにバルプロ酸の血中濃度を下げることでてんかん発作の閾値を下げることが指摘されており、添付文書上ではカルバペネム系とバルプロ酸の併用は禁忌とされています。 実際には […]
Step1: ABCの確認+血液ガス/血糖値 “Vital is always vital.”という言葉がある通りバイタルサインは最重要だ。A(airway), B(breathing), C(circulation)の安定を必ず確認してから、初めてD(diazepam, ジアゼパム)投与を検討する。目の前の患者が「けいれん」しているとつい慌ててしまいなんとか止めようと考えてしまうが、ABCをすっ […]
「けいれん」という症候からどのような病態を鑑別しないといけないかを考える。けいれんを呈する病態は大きく分けると1:脳神経細胞の異常興奮、2:一過性全脳虚血(失神)、3:心因性の3つに分類される。重要なのはこれらの鑑別は検査では分からず、あくまで病歴、臨床所見から行うという点にある。上記3つの病態を一気に鑑別するのは難しいため、まず1と2を比較し、次に1と3を比較するという方法で鑑別をすすめていく。 […]