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レベチラセタム LEV: levetiracetum

レベチラセタムは近年最も処方されるようになった抗てんかん薬でてんかん診療に慣れていない医師にとっても相互作用や副作用が少ない点から非常に処方しやすい薬剤です。その特徴に関してまとめます。

薬剤の特徴

一般名:レベチラセタム、商品名:イーケプラ®

作用機序(下図参照)
1:N型Ca受容体抑制、細胞内Ca遊離抑制
2:シナプス小胞体放出抑制

代謝:腎臓(2/3)、肝臓(1/3)(CYPを介さない) 

半減期:7-9hr(2日後には定常状態に達する) Tmax:1.5hr

血中濃度:12-46μg/ml TDM2日後(grade C)

bioavailability:100%、食事に影響されず非常に高いbioavailabilityが特徴です。このため点滴での投与量をそのまま内服の投与量とすることが出来ます。

製剤 内服:250mg,500mg/1T 点滴:500mg/5ml/1A

投与量

再発予防:基本的に維持の場合は1日2回投与

一般的には1000mg/日(分2)から開始し、最大投与量は3000mg/日となっています。

しかし、若年者で慎重に開始する場合は500mg/日(分2)、高齢者で慎重に開始する場合は250mg/日(分1)から開始する方法もあります。以下に腎機能ごとの投与量に関してまとめたものを掲載します。

■てんかん重責:てんかん重積時の2nd line therapyとしてレベチラセタムは地位を確立しています。海外のガイドラインでのてんかん重積での投与量はLEV60mg/kg(かつ多くの国で最大投与量は4500mg/日)となっており、その用量ではESETT(NEJM 2019;381:2103)ではバルプロ酸(点滴製剤日本にはなし)やホスフェニトインと発作消失に関して有意差はなかったとされています。

日本では重責での適応がまだ無い点が使用しづらさがあります。保険との兼ね合いはありますが、500mgを点滴するだけでは重責にはほとんど効果はなく、積極的に高用量点滴するべきと個人的には思っています。

副作用と薬剤相互作用

副作用が少ない点が特徴ですが、特に精神症状がレベチラセタムは高率で認めます。

・傾眠 12.8-30.3%
・浮動性めまい 6.9-14.7%
精神症状増悪(いらいら、易怒性など)

精神症状に関してLEVは他の抗てんかん薬よりも多いことが指摘されています(Epilepsy & Behavior 76 (2017) 24–31)。

■精神副作用の出現予測

以下の4項目がリスク因子として指摘されています(JAMA Neurol. 2019;76(4):440-446.)。
1:性別:女性
2:うつ病の既往
3:不安症の既往
4:麻薬(recreational drug use)の使用

該当項目の下図により精神症状副作用の出現頻度は以下の対応関係にあります。
0項目:8%
1項目:11-17%
2項目:17-31%
3項目:30-42%
4項目:49%

■薬剤相互作用:ほとんどなし

他の抗てんかん薬との違いとしてとても重要です。

どのような状況でレベチラセタムを使用するか?

このような特徴を兼ね備えたレベチラセタムですが、実際にどのような状況で使用するべきか?に関して以下にまとめました。

■発作予防の場合

内服種類が多い患者:相互作用が少ない点で使用しやすい
若年女性:妊娠、授乳時にも使用することができる点
薬疹既往:薬疹頻度は少ない(一度薬疹が出るとその後も別の抗てんかん薬でも薬疹が起こりやすいことが指摘されている)
てんかん重責からの内服への移行:点滴製剤、内服製剤どちらもあるため点滴から内服への移行がしやすい。またbioavailabilityも優れているため点滴量をそのまま内服量として使用することができる。てんかん重積でホスフェニトインの唯一の難点はその後内服に移行する際に血中濃度が安定しない点とフェニトインを長期に使用することでの副作用の懸念がある点が挙げられます。

■てんかん重積の場合

・2nd line therapyとしてホスフェニトインが使用しづらい場合にレベチラセタムを使用します。具体的には血圧低値や徐脈性不整脈がある患者、その他はもともとカルバマゼピンやバルプロ酸を内服している患者さんはホスフェニトインとの相互作用で血中濃度が低下してしまうリスクがあるためホスフェニトイン投与にやや躊躇があります。先程申し上げた用に投与量が海外では60mg/kgなので、十分量投与しないと重積時には効果がないかもしれない点に注意です。

■使用を控える場合

逆にうつ病、不安障害、精神疾患の患者さんでは副作用の点から使用は避けるべきです。

レベチラセタムは救急や集中治療などでも頻回に使用され、その薬剤の特徴に習熟するべきですのでまとめさせていただきました。