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村上春樹・川上未映子 春のみみずく朗読会 2024年3月1日(金)@早稲田大学 大隈講堂

ずっとこの日を楽しみに待っていました。村上春樹さん、川上未映子さんというお二方とも私が大好きな小説家の方が朗読会を開催されるという情報を得て、まっさきにチケットを手に入れました。元々村上春樹さんと川上未映子さんは対談集(こちら)も出されており親交が深く、5年前にも朗読会を開催されていらっしゃいます。

村上春樹さん、川上未映子さんがそれぞれ今回の朗読会のために未発表の新作短編小説を書かれて、それをご自身で朗読してくださるというまさに夢の様な朗読会です。会場の早稲田大学の大隈講堂は満席で、遠方から来られてスーツケースを携えている方、海外の方などもいらっしゃり熱気に満ちていました(過去にお仕事をご一緒した集中治療医のO先生もいらしており、久しぶりにお話できました)。

また今回は友情出演のゲストとしてギタリストの村治佳織、また俳優の小澤征悦が参加され、村治佳織さんはソロギターの演奏と途中朗読の伴奏、小澤征悦さんは川上未映子さんの「ヘブン」(こちら)と村上春樹さんの「風の歌を聴け」(こちら:村上春樹さんが45年前最初に執筆された作品です)を朗読されました。

皆様方私は生で初めて拝見したのですが、川上未映子さんは隅々まで端正な所作と気品高いオーラ、また朗読での声の美しさと表情の変貌に圧倒されました。村上春樹さんはジーンズにスニーカーというカジュアルな格好で、70歳を超えているとはとても思えない声質と若々しさがありました(またシャイな印象もとても伝わってきました)。

村治佳織さんのギター演奏は会場、雰囲気と非常にマッチしていて最初の「花は咲く」では目頭が熱くなりました。また村治さんの丁寧に言葉を選んだ話や春らしい服装、雰囲気などが柔らかく温かみがあってとっても素敵な方だなと思いました。小澤征悦さんは朗読が本当に素晴らしく、川上未映子さんの「ヘブン」は自分も元々読んだことがあったのですが、改めて命を吹き込まれたような新鮮さがありました。

川上未映子さんと村上春樹さん、それぞれの新作の詳細はここで話すことはできません。川上未映子さんの作品は本当に主人公の息遣いが聴こえてくるような静かにそして緻密にぐっと迫ってくる緊張感のある素敵な作品でした。

村上春樹さんの作品は主人公が奇妙な体験を通じてとあるテーマに関して自分の中と対峙する内省的な作品です。決して明るい話という訳ではないのですが、小説の最後の終わり方があまりに素晴らしかったです。

本当に素敵で貴重な時間を過ごすことができ、感謝しかありません。私は今回生まれて初めて朗読会に参加したのですが、言葉の美しさと心を癒す力を肌で感じることができました。また大げさかもしれませんが、本当に「ああ生きていてよかった」と思いました。2024年の春は素晴らしい始まりとなりそうです。

最後に撮影会がありSNSのアップしても大丈夫とのことでしたので、残させていただきます。私の席は幸運にも前から3列目というとても良い席でしたので、本当に皆様方を近くに感じることができました。
(左から小澤征悦さん、川上未映子さん、村上春樹さん、村治佳織さん)