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SarcoidosisとSmall Fiber Neuropathy

病態・臨床像

・元々サルコイドーシスの患者で説明ができない疼痛や異常感覚は認めており, これがsmall fiber neuropathyなのではないかという検討がされ、この文献を端緒として広がっていった(この報告からHoitsma先生の論文がほとんどを占めている) Lancet 2002;359:2085 e 6.
 *ここではサルコイドーシス患者の44%(31/70例)で疼痛, 異常感覚を認め全例でNCSは正常, 7例で皮膚生検を実施しIENFDは有意に低下している結果からSmall fiber neuropathyがこれらの疼痛の原因と報告

・通常のsarcoidosisに伴う末梢神経障害(neuropathy)は肉芽腫を伴うことで炎症や血管炎の病態により神経障害を来す.
・しかしsmall fiber neuropathyでは神経自体に肉芽腫病変は検出されず肉芽腫とは直接関係ない可能性があり, 原因は解明されていない.

・長さ依存性の報告もあれば長さ非依存性のsmall fiber neuropathy(SFN)の報告もある
自律神経障害合併することが多い(これも他のSFNと同様)
・通常のsmall fiber neuropathyと同様に神経伝導検査や針筋電図では検出できない, 診断は皮膚生検によるIENFDを調べることがgold standard *Neurology. 2009;73:1142 – 8.
・今のところの報告ではそのままlarge fiber neuropathyに進展するという訳ではない(やはり上記の通り肉芽腫が直接神経に浸潤している訳ではないためか?)

■Sarcoidosis-SFNの115例検討 Respir Med. 2017;126:135-138.
・発症年齢 46歳(19-77歳)
・臨床像:疼痛 77%, 異常感覚 77%, 長さ非依存性の障害 54%
・自律神経障害 53%, 心臓 38%, 消化管 21%, 発汗障害 19% *自律神経障害単独障害なし
・治療効果あり IVIg 47/62例, TNFα阻害薬 10/14例, 両者併用10/14例

治療

他の神経サルコイドーシスと比べてステロイドやメトトレキサートによる治療反応性が悪く抵抗性である
 *過去にステロイドパルス効果があった報告1例あるのみ Intern Med 54: 1281-1286, 2015
IVIGインフリキシマブが効果ある報告があり, reviewやコホート研究でも取り上げられている
 *Respir Med. 2011;105(1):101-105. sarcoidosis-SFNに対してIVIg効果があった3例報告
 *Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2006;23:73-7. インフリキシマブが有用で寛解に至った1例報告

*治療効果判定がsmall fiber neuropathyの場合自覚症状になるため客観的評価がやや難しい点が難点

参考文献
・Curr Pain Headache Rep (2011) 15:201 – 206 review