神経伝導検査 上肢

ここでは神経伝導検査の上肢に関して具体的な方法を解説します(施設毎に決まったやり方があると思いますのであくまで参考です)。下肢に関してはこちらをご参照ください。また神経伝導検査の総論・解釈に関してはこちらをご参照ください。

正中神経

神経根:C8/Th1(短母指外転筋の場合)、C6/C7(示指の感覚神経評価の場合)
■運動神経の評価
導出電極:APB(短母指外転筋)母指は屈曲・伸展・外転・内転・対立の5つの運動により構成されている、このうちAPBが担う「外転」は母指を掌側面に対して垂直に持ち上げる動きである。
*張り位置motor pointからずれているとCMAPが陽性波から始まる場合やCMAP振幅が小さくなってしまう場合がある(張り位置の影響をかなり受けやすいため注意が必要)
基準電極:母指基部(MP関節)
刺激部位
1:手首
2:肘 正中神経は上腕動脈の内側を走行する
3:腋窩(尺骨神経にcurrent spredしないように、刺激電極を押さえつける方向を意識する。また不必要に刺激強度が強いとcurrent spreadするため注意。ときおり尺骨神経とのcollisionが必要となる場合がある)
*内側二頭筋溝:上腕二頭筋と上腕三頭筋にはさまれた部分で正中神経・尺骨神経・上腕動脈を含む。
4:Erb点(鎖骨上窩) 尺骨神経とのcollisionが全例必要。これもしっかりと刺激電極を食い込ませる必要がある。全刺激部位の中でも最も最大上刺激を得るのが大変なので、刺激時間を伸ばす、100mAまで刺激するなどの対応が必要となる場合が多い。

■感覚神経の評価 *逆行法での評価例
導出電極:示指PIP関節(リング電極:黒)
基準電極:示指DIP関節(リング電極:赤)
刺激部位
1:手掌(感覚神経評価のみ) 基線がドリフトしやすいためリング電極から十分に距離を取り、アースの位置も刺激部との間に位置するようにする。母指付け根に食い込ませるように刺激電極を置く。
2:手首
3:肘
*CMAPの影響を少しでも除くために第2指と第3指の間にガーゼを挟むなどをすると良い。

*正中神経の解剖・障害を受けた際の臨床像などはこちらをご参照ください。

尺骨神経

神経根:C8/Th1(小指外転筋の場合)、C8(小指の感覚神経評価の場合)
■運動神経の評価
導出電極:ADM(小指外転筋)
基準電極:小指基部(MP関節尺側)
刺激部位
1:手首
2:肘下
 
3:肘上 
4:腋窩(正中神経にcurrent spredしないように、刺激電極を押さえつける方向を意識する。また不必要に刺激強度が強いとcurrent spreadするため注意。)
*内側二頭筋溝:上腕二頭筋と上腕三頭筋にはさまれた部分で正中神経・尺骨神経・上腕動脈を含む。
5:Erb点(鎖骨上窩) しっかりと刺激電極を食い込ませる必要がある。全刺激部位の中でも最も最大上刺激を得るのが大変なので、刺激時間を伸ばす(0.5ms→1.0ms)、100mAまで刺激するなどの対応が必要となる場合が多い。

■感覚神経の評価 *逆行法での評価例
導出電極:小指PIP関節(リング電極:黒)
基準電極:小指DIP関節(リング電極:赤)
刺激部位
1:手首
2:肘下
3:肘上
*CMAPの影響を少しでも除くために第4指と第5指の間にガーゼを挟むなどをすると良い。
→尺骨神経はCMAPが乗りやすくSNAPが十分に評価出来ない場合があり、その場合は順行法の評価を行う。

*尺骨神経の解剖・障害を受けた場合の臨床像などはこちらをご参照ください。

橈骨神経(radial nerve)

橈骨神経の神経伝導検査は正中神経や尺骨神経と異なりルーチンでは行いませんが、多発単神経障害や圧迫性の橈骨神経麻痺の評価で行う場合があるため掲載します。

■運動神経の評価
導出電極:EIP(extensor indecis proprius:固有示指伸筋) 尺骨茎状突起より3横指近位に位置する細長い筋肉。指示の伸展に関与する。
基準電極:尺骨茎状突起
刺激部位
1:前腕 ECUとEDの間を刺激する 
2:肘 上腕二頭筋と腕撓骨筋の間(外側へふる)を刺激する
3:らせん溝 三角筋と上腕三頭筋の間を刺激する
4:腋窩(正中神経や尺骨神経での刺激位置よりも背側を刺激する)
5:Erb点(鎖骨上窩) 

■感覚神経の評価 浅橈骨神経(superficial radial nerve)*逆行法での評価例
導出電極:長母指伸筋腱上:Anatomic snuffbox 尺側かつ第2中手骨橈側(注意深く触ると長母指伸筋腱の上に神経をコリコリ触れることができる)
基準電極:示指MP基部
刺激部位:前腕橈骨内側(骨上) 導出電極より12cm近位 *この1箇所しか評価できない

*参考:浅橈骨神経の触れる部位

*橈骨神経の解剖・障害を受けた場合の臨床像などはこちらをご参照ください。

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