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2019年7月

「けいれん」を呈する病態へのアプローチ

「けいれん」という症候からどのような病態を鑑別しないといけないかを考える。けいれんを呈する病態は大きく分けると1:脳神経細胞の異常興奮、2:一過性全脳虚血(失神)、3:心因性の3つに分類される。重要なのはこれらの鑑別は検査では分からず、あくまで病歴、臨床所見から行うという点にある。上記3つの病態を一気に鑑別するのは難しいため、まず1と2を比較し、次に1と3を比較するという方法で鑑別をすすめていく。 […]

「けいれん」・「てんかん」・「発作」の言葉について

病態・症候・病名の対応関係 日常臨床で「てんかん」、「けいれん」、「発作」という言葉が十分に区別されずに使用されている現場を目にすることが多い。この言葉を理解するためのポイントは各用語が「疾患」、「症候」、「病態」のどれを表しており、それぞれどのような対応関係にあるかを理解することにある。この対応関係を下図にまとめた。 てんかん(epilepsy)は疾患(つまり病気の名前)であり、症候(つまり症状 […]

DOAC: direct oral anticoagulants 直接作用型経口抗凝固薬

1:薬剤のまとめ 以下にDOACそれぞれの特徴をまとめます。腎機能により薬剤量は調節が必要です。すべての薬剤でCCr<15 ml/minの場合は禁忌となり、ワーファリンを選択します(ワーファリンは透析患者での抗凝固に関しては出血合併を増加させるだけで血栓症は減らさない可能性があり注意が必要です)。 2:DOACの特徴 DOACのワーファリンと異なる特徴としては、半減期が短い、拮抗薬がない(新 […]

膠質液(colloid)まとめ

1:体内の分布 膠質液はcolloidとも表現され、血中の浸透圧を保つ高分子輸液製剤のことをさします。理想的には膠質浸透圧が保たれているため、下図のように全て血管内に分布するはずです(細胞外液、細胞内液、血管内と3つのコンパートメントに分類すると)。 しかし、実際には必ずしも血管内だけに分布するわけではないことが分かっています。一体なぜでしょうか? 血管内皮細胞は普段グリコカリックスというものに裏 […]

細菌性髄膜炎 bacterial meningitis

0:はじめに 細菌性髄膜炎は市中感染症の中でも最もemergencyな疾患であるが、3次救急を扱う総合病院でも1か月1例はないような稀な疾患である。稀な疾患ではあるが、医療者が出来る予後を改善する唯一の方法が素早い治療介入であり、その臨床像をつかむことと、初期対応に関して習熟することは極めて重要である。 1:臨床所見・臨床像 「細菌性髄膜炎」の臨床像を表現すると、「発熱」、「頭痛」、「意識障害」の […]