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2019年

脊髄疾患 総論・まとめ

0:はじめに 脊髄に病変をきたす疾患は膨大です。ここでは、脊髄疾患ということまでは分かったけど、診断が分からない場合にどのように系統的アプローチをしていけばよういかを解説します(主に Pract Neurol 2018;18:187 より引用しています・秀逸なreviewです)。脊髄疾患の鑑別においては、 1:発症様式と経過2:脊髄内での病変分布(短軸)3:病変の長さ(長軸) long or sh […]

セフェピム脳症 cefepime-induced encephalopathy

先日セフェピム脳症の症例を久しぶりに経験しました。ESRD患者のSerratia菌血症に対してCFPM投与によって、投与2日で不穏状態になってしまい、中止後3日程度で自然と意識状態は改善しました。疾患の臨床像、自然経過を勉強するためいくつかreviewを読みまとめました。 1:病態 抗菌薬関連脳症(AAE: antibiotics associated encephalopathy)という概念があ […]

低K血症/低カリウム血症 hypopotassemia/hypokalemia

1:K代謝の生理学 まずK代謝の特徴を端的に述べると、 1:細胞内・外シフトが血中K濃度に大きな影響を与える( 細胞内のKが細胞外よりも圧倒的に多い)。2:尿中からのK排泄量を”0″にすることは出来ない(尿中Na排泄量はほぼ”0″にすることが出来るのに対して)。 という2点が特に特徴的だと思います。これからは以下の代謝図を参考にしながらK代謝の生理学 […]

酸塩基平衡:血液ガスの読み方 原則編

酸塩基平衡を解析する方法は実は大きく3通りあります。僕たちが普段医学生の時に学ぶ方法はそのなかのphysiologic approachというものであり、この方法についてここでは説明します(その他Base excess approach, Stewart approachがありますがここでは省略)。 Physiologic approachでは次のStep5つを進めていきます。 Step 1:pH […]

伝染性単核球症 infectious mononucleosis

1:病態・概要 EBV感染症によるものを伝染性単核球症(infectious mononucleosis)、その他の原因によるものをmononucleosis-like syndromeと表現します。 EBVは唾液から咽頭上皮細胞へ感染し、咽頭のリンパ組織のB細胞へ感染することで全身性の症状(リンパ節腫脹、肝脾腫、皮疹、倦怠感)などを引き起こします。そしてこのB細胞が様々な抗体を産生すると、自己免 […]

GNR グラム陰性桿菌

1:分類 グラム陰性桿菌は市中感染症・院内感染症いずれでもよく遭遇する菌です。ここでは具体的な分類に関して説明します。グラム陰性桿菌(以下GNR)は1:腸内細菌科と2:ぶどう糖非発酵菌(代表的なのは緑膿菌)に分類すると分かりやすいです。グラム染色の段階では主に「大きさ」で区別をします。GNRをlarge, middle, smallと区別するとKlebsiella=GNR large, E.col […]

血液培養 blood culture

1:菌血症・敗血症 まず基本的な事項のおさらいですが、菌血症(bacteremia)と敗血症(sepsis)は全く別の概念です。また、 菌血症であることは敗血症であることの十分条件でも必要条件でもありません。 ・菌血症(bacteremia)は血液中に菌を認めることを意味し、血液培養陽性と同義です。菌血症=血液培養陽性。 ・敗血症(sepsis)は「感染症に対する制御不能な宿主因子に起因した生命を […]

セフェム系抗菌薬

1:分類 ペニシリン系と並んで抗菌薬の基本となります。細胞壁合成阻害、殺菌性、時間依存性といった特徴はペニシリン系と同様です。 セフェム系抗菌薬の特徴として重要なことは、・髄液移行性:第1-2世代はないですが、第3世代からはあります・嫌気性菌カバー:セフメタゾール以外基本的になし or 弱い・セフェム系全般においてListeriaと腸球菌のカバーがない(Listeriaは特に細菌性髄膜炎の患者でカ […]

ペニシリン系抗菌薬

1:分類 ペニシリン系抗菌薬は抗菌薬のなかでも使用頻度も多く、抗菌薬の基本です。初期研修ではまずペニシリン系とセフェム系をきちんと使えるようになることが目標だと思います(その他のテトラサイクリンやマクロライド、キノロンを使用する以前に)。 細胞壁合成阻害(PBP:penicillin binding proteinという細胞壁を作る酵素に結合することで細胞壁合成を阻害する)、殺菌性、時間依存性の抗 […]

キノロン系抗菌薬 Quinolone

1:分類 殺菌性、濃度依存性の抗菌薬で作用機序としてはDNA阻害により作用します。以下にその分類をまとめましたのでご参照ください。レボフロキサシンでは肺炎球菌のカバーが出来るようになり、モキシフロキサシン(私は一度も処方したことがないですが)は嫌気性菌カバーが出来るようになる特徴があります。 2:適応 一言で表現すると、キノロン系抗菌薬は「レジオネラ感染症以外は基本使用しない」という姿勢が重要です […]