入院患者の発熱 fever workup

1:原因

入院患者の発熱への対応は病棟医の基本中の基本ですが、奥が深く簡単ではないことが多いです。治療可能な病態へ早く介入できるかどうかの病棟医の力量が問われていると日々痛感しております。

原因は「感染症」と「非感染症」いずれもあり、
感染症としては、5大医療関連感染症
CAUTI: catheter associated urinary tract infection(カテーテル関連尿路感染症)
CRBSI: catheter related blood stream infection(カテーテル関連血流感染症)
VAP/HAP: ventilator associated pneumonia, hospital acquired pneumonia(人工呼吸器関連肺炎、院内肺炎)
SSI: surgical site infection(手術部位感染)
CDI: clostridium difficile infection
が挙げられます。

7D’sは「感染症」、「非感染症」いずれも含んでおり覚えやすく実臨床で使用しやすいです。それぞれに関してはまた別項で解説します。
7D’s ・Decubitus(褥瘡)・Debris(胆嚢炎)・Drug(薬剤性)・Device(デバイス関連感染)・DVT(深部静脈血栓症)・CDDP(偽痛風)・CDI(Clostridium difficile infection)

下図に感染症と解剖部位のおおまかな対応関係をシェーマにまとめました。私は上記の頭の中でこの解剖シェーマをイメージしながら、病歴、身体所見をとり、発熱の原因を考えています。

2:身体所見・検査

状況に応じて全てを行うわけではないが、発熱患者のwork upでは以下の検査を行います。院内発熱といえども感染症を疑う場合はグラム染色・培養検査で「微生物学的診断にこだわる姿勢」が重要です。

・血液検査:胆道系酵素以外は診断への寄与は小さい(もちろんCRPが上昇しているかどうかで鑑別には役立たない)
・血液培養(カテーテル関連血流感染症を疑う場合はカテ先培養+カテ逆血培養も)
・尿検査:定性、沈査・グラム染色・培養(尿道カテーテルある場合は入れ替えてから検体採取)
・喀痰検査:グラム染色・培養
・便検査:CD toxin・便中WBC
・胸部Xp
・エコー検査:胆嚢、胆管・下肢静脈

3:救急外来でのアプローチとどう違うか?

入院中の発熱患者にアプローチする際、救急外来の発熱患者へアプローチする場合と違う点は、前者では発熱後間もない状態を診察するため症状・所見が十分にそろっていない可能性が高いという点です(下図参照)。腎盂腎炎としては典型的なCVA tendernessや腎双手診は認めないことが初期は多いですし、肺炎としても呼吸症状がそろっていない場合が多いです。

このため、所見が全部そろって診断にいたるということは少ないです。しかし、院内発熱は救急外来で出会う発熱と違い鑑別が限られています(ある程度)。(以下イメージ図)

ある疾患を積極的に示唆する所見に乏しい状況ですが、鑑別が限られているため、「除外診断」の要素が大きいと思います。例えば、呼吸のパラメータも動いていなくて痰もきれいで抗菌薬暴露もなくて胆嚢炎らしくもない、関節炎もないしカテーテルも入れたばかり、薬も新規のものはなく・・・尿はGNRがいてWBCもあり、除外的に尿路感染症か・・・?と他の疾患の除外の上に診断を暫定的に診断が成り立つことが多いです。

救急外来では鑑別が無数にあるため、「ある疾患らしさ」を集めに行くことで鑑別を構築していきます(下図イメージ)。しかし、院内発熱では「ある疾患らしさ」は発症後間もないと乏しいことが多いため、鑑別が有限であることを踏まえて「ある疾患らしくない点」も集めて除外的に診断に至ることも多いということです(つまりfullでwork upしないといけない場合が多いということです)。

まとめると、「ある疾患らしいかどうか?」だけでなく、「ある疾患らしくないかどうか?」という視点を持ちながら診察する姿勢が救急外来とは異なり、院内発熱患者へのアプローチとして重要です。

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