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カルシウム受容体拮抗薬 CCB: calcium channel blocker

1:カルシウム受容体の分類

カルシウム受容体は数多くあるが、大きく「ジヒドロピリジン系」「非ジヒドロピリジン系」の2つに分類すると理解がしやすくなります。

「ジヒドロピリジン系」の薬剤は主に血管平滑筋に作用し、降圧薬として使用します(薬剤名に「○○ジピン」が付きます)。一方で「非ジヒドロピリジン系」の薬剤は心筋・刺激伝導系(房室結節)に作用し、“rate controller”として使用します(下図参照)。

2:ジヒドロピリジン系

■静注薬

ニカルジピンは静注薬として代表的なものです。特に救急で、高血圧緊急症や頭蓋内出血での降圧で使用します。本来静脈炎のリスクが高く希釈して使用するべき薬剤ですが、救急では原液でシリンジポンプで使用することが多いです(具体的には10mg/10mlで1Aのものがあるので、それを3A使用し、シリンジポンプにつなぐ)。また配合変化が多い薬剤でもあるため、同一ルートの薬剤に注意が必要です。bolusの投与を行う場合もあれば、bolusせずに持続投与をそのまま開始する場合もあります。多くの場合2-4mg/hr(原液では2-4ml/hr)程度から開始し、適宜調整していきます。

内服薬

内服薬はアムロジピンニフェジピンに習熟すれば基本的には問題ありません。

アムロジピンは半減期が39hrと長く、1日1錠、慢性期の血圧管理に適しています。半減期がながいため、降圧の効果判定には3日程度は必要であり、1-2日使用して狙い通りの血圧に下がらないからといって増量しないようにしましょう。

ニフェジピンは半減期が短く、急性期の内服薬として有用です。基本的には徐放製剤のアダラートCR®を使用します。

以下にジヒドロピリジン系のまとめを載せます。

3:非ジヒドロピリジン系

非ジヒドロピリジン系薬剤に共通する注意点としては、この薬剤は房室結節だけではなく、心筋にも働くため収縮力が低下し心不全を助長してしまうリスクがあることです。心房細動のrate controlで使用する場合であっても、投与前に心エコーでおおまかな収縮能の評価と、大動脈弁狭窄症がないかの評価をするようにしたいです。

ベラパミル(ワソラン®) 静注・内服

静注薬、また内服でも使用することが出来る非ジヒドロピリジン系代表的な薬がベラパミル(ワソラン)です。房室伝導を抑制する作用から心房細動のrate controlとして非循環器専門医も使用する場合が多いです。静注薬を使用する場合は基本的に生食に溶いて、15~30分程度で点滴する。ただ、持続投与が出来ないため細かい調整が出来ない点と陰性変力作用が強く背景の心機能が悪い場合は使いにくい点が難点です。

ジルチアゼム(ヘルベッサー®) 静注・内服

持続投与が可能な点と陰性変力作用がベラパミルより弱い点から背景の心機能が悪い場合はジルチアゼムの持続投与も検討します。組成は施設によって違いがあると思いますが、私は50mg/1Vを3V+生理食塩水50mlにすることで、体重50kg換算で1ml/hr=1γとなるので計算しやすく、この組成が好みです。だいたい2γ(この組成だと2ml/hr)程度から開始して適宜調整していきます。

以下に非ジヒドロピリジン系のまとめを載せます。

以上カルシウム受容体拮抗薬に関してまとめました。