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手指屈筋反射 finger flexion reflex

手指屈筋反射はなんとも文献により記載方法がばらばらで困ります。そもそもreflex, phenomenon, signという表現も文献により混在しています・・・(これは英文でも和文でもです)。このためNeurologistからツッコミが沢山くる可能性があります。通常の腱反射に関してはこちらをご参照ください。

手指屈筋反射の基本

・手指屈筋群に認める筋伸長反射(手指屈筋群が引き延ばされることにより手指が屈曲する反射)

・判定は特に母指の屈曲で判断する。
病的反射には該当しない *反射に恒常性はない(健常者でもでる場合,でない場合がある)
左右差が病的意義を有し重要である
・髄節は”C8(*C8~Th1, C7~Th1)”が主体(*文献により違いはあるもの)

Wartenberg反射 (Wartenberg reflex)

・手指屈筋反射の中で最も感度が高いです。医学部のときの教科書にはHoffman, Tromnerの記載はあるけれど、Wartenbergの記載がないことがあるかもしれませんが重要です。
*”Dejong”の教科書には”The Finger Flexor Reflex(Wartenberg’s sign)”と記載がありますが、SignとReflexが混在した表現になっており違和感があります。
・方法:被検者の前腕は回外位で手掌が天井を向いている状態、第2-5指を軽度屈曲し検者の指に引っかけてもらい、検者の第2,3指を掌側面においてそこをハンマーでたたく
*動画:左放線冠脳梗塞による右上肢遠位に限局した麻痺症例でのWartenberg reflex 右(病側)は誘発されるが、左(健側)は誘発されず左右差がある

Hoffmann徴候

・最も閾値が高い診察方法です。
・方法:被検者の中指を他動的に背屈させ、検者の母指と示指ないしは中指で,被検者の中指末節をはじきます。

Tromner指現象(finger phenomenon)

・これも文献により表現が異なります。
・方法:被検者の中指を他動的に背屈させ、掌側面より強くはじきます。
・Hoffmann徴候と臨床意義はほぼ同等、または病的意義は乏しいとされています。
*「神経症候学を学ぶ人のために」ではHoffmann反射、Tromner反射と記載されています。

参考文献
・脊椎脊髄 28 ⑷:261-263,2015 手指屈筋反射の包括的な日本語によるreviewで勉強になります。こちらではHoffmann徴候、Tromner指現象と記載されています。