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薬疹

分類

蕁麻疹、アナフィラキシー(IgEを介したⅠ型アレルギー):薬剤開始後数分(1時間以内) こちらを参照
薬疹(Ⅳ型アレルギー):薬剤開始後4-21日後(最も一般的)
重症薬疹:DIHS, SJS-TEN:薬剤開始後数日~数週後

薬疹(一般的なもの)

・時期:Ⅳ型アレルギーのため薬剤開始直後ではなく、薬剤開始後4-21日に出現することが多い。
・皮疹は麻疹様の丘疹、斑状疹を呈することが多い。
・通常体幹から左右対称に出現することが多い

■「重症薬疹」のポイント
1:全身症状
(発熱、倦怠感)
2:粘膜病変(眼・口腔内・外陰部:排尿障害)
3:水疱形成/表皮剥離
*皮疹の見た目だけでは重症かどうかわからない場合も多いため、全身症状と粘膜病変に特に注意する必要がある

DIHS(drug induced hypersensitivity syndrome):薬剤性過敏症症候群

■原因:*原因薬剤が限定されている点がポイント
・抗てんかん薬:カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギン、フェノバルビタール、ゾニサミド *抗てんかん薬と薬疹に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。
・抗菌薬:ミノサイクリン
・その他:アロプリノール、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルホン、メキシレチン

■発症時期:薬剤開始2-6週間後

■臨床像
顔面から皮疹が出現する場合が多い(通常の薬疹は体幹から始めることが多い)。また薬剤中止後の症状が遷延することが多い。
「発熱+皮疹」の鑑別としてDIHSを挙げるべき(感染症と膠原病だけではなく)。
・好酸球増多の鑑別としても重要。
・心筋炎や血球貪食症候群などを合併する場合があり、重症化しやすい。

■診断基準(日本の診断基準2005年) 典型:以下1-7を全て満たす、非典型:以下1-5を全て満たす

  1. 限られた薬剤投与後遅発性に生じ,急速に拡大する紅斑
  2. 原因薬剤中止後も2週間以上遷延する
  3. 38度以上の発熱
  4. 肝機能障害
  5. 血液学的異常 a,b,cのいずれか
    a. 白血球増多(11000/mm3以上)
    b. 異型リンパ球の出現(5%以上)
    c. 好酸球増多(1500/mm3以上)
  6. リンパ節腫脹
  7. HHV6の再活性化
    *参考:橋本公二 Stevens-Johnson 症候群,toxic epidermal necrolysis(TEN)と hypersensitivity syndrome の診断基準および治療指針の研究 厚生科学特別研究事業 平成17年度総括研究報告,2005

■治療:原因薬剤中止+ステロイド

Stevens–Johnson Syndrome and Toxic Epidermal Necrolysis (SJS–TEN)

■原因:さまざまな薬剤で起こりうる

■発症時期:薬剤開始後4-21日後が多い
*壊死の面積:<10%:SJS、10-30%:SJS-TEN、30%<:TEN

臨床像
咽頭痛、口腔内のただれ、硬口蓋のただれなどから呈する場合がある。また表皮と粘膜の境界部分から皮疹と水疱形成をする場合もある。
・発熱、倦怠感といった全身症状が皮膚所見に先行する場合もあり注意が必要。
*ニコルスキー現象:正常に見える皮膚をこすると容易に表皮剥離を起こしてしまう現象のことでありSJS-TENで認める場合がある。
*眼の粘膜病変がある場合は必ず眼科コンサルテーション

■治療:原因薬剤中止+ステロイド、免疫グロブリン療法などを検討
参考文献:N Engl J Med 2012;366:2492-501.

薬疹の検査

自分が何型アレルギーに対して検査を行っているのか?を意識することが重要。

1:皮膚テスト
・Ⅰ型アレルギーの場合:プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト(15分判定)
・Ⅳ型アレルギーの場合:パッチテスト、皮内テスト(24時間判定)

2:薬剤リンパ球刺激試験(DLST: drug lymphocyte stimulation test)
・Ⅳ型アレルギーに有用な検査
・感度は低く、特異度は比較的高い(このため検査が陰性でも除外できない点が難点)
検査方法:各薬剤に関して薬剤の実物(検査用に処方する必要がある:誤って投与されてしまわないように注意)と患者血液で検査を行う(外注検査)