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視神経周囲炎 Optic perineuritis

1:病態

視神経鞘(optic nerve sheath)を主体に炎症をきたす病態(視神経軸索ではなく)とされています。視神経炎とは独立した疾患概念として報告されています。

視神経鞘は頭蓋内では存在しない(頭蓋骨の硬膜へ移行)ため、炎症は視神経前方に起こりやすいとされています。眼底検査では視神経乳頭部にも炎症をきたしていることも多い(乳頭浮腫 68% Arch Opthalmol 2001;119:1299 )です。視神経鞘は眼窩内では強膜、頭蓋内では硬膜と連続するため、強膜炎や肥厚性硬膜炎の合併も報告されています。

視野障害に関しては、視神経周囲炎は周辺視野の障害が視神経炎よりも多いとされています(視神経炎では「中心暗点」・「盲点中心暗点」が多いのに対して)。
これは視神経の内側線維は網膜の視神経乳頭周囲に分布し、外側線維は網膜の辺縁に分布する解剖学的特徴から説明できます。視神経炎では視神経内側の線維が障害されることで乳頭周囲の特に乳頭黄斑線維の障害が強いですが、視神経周囲炎では視神経外側の線維が障害されるため弓状線維や鼻側放射状線維が障害されることで周辺の視野障害をきたします。

しかし、臨床経過だけで視神経炎との鑑別は難しく、視神経周囲炎の診断では視神経の画像評価(MRI検査)が特に重要です。視神経鞘の炎症を反映したaxial像での“tram track” sign、coronal像での“doughnut” signが特に重要です(以下は臨床神経 2017;57:716より)。

視神経炎との画像上での鑑別点を再度体裁させていただきます。

2:原因

特発性2次性があり、2次性の原因としてはBechet病(10例)、GPA(5例)、クローン病(1例)が報告( Arch Opthalmol 2001;119:1299 参照)されています。以下に Curr Neurol Neurosci Rep (2016) 16: 16 のreviewでまとめられた既報を載せます。視神経周囲炎が契機となって背景の基礎疾患の診断に至った場合も報告されており、その他の鑑別疾患と合わせてANCA関連血管炎、梅毒、サルコイドーシス、IgG4関連疾患、腫瘍の鑑別を進めることが重要です。

3:治療・予後

ステロイドによる初期治療の治療反応性が良いこと、再発が多いことが特徴です(視神経炎と比べて)。基本は高容量ステロイドで開始し、後療法を続けて再発がないことを確認していく流れになると思います。

先日視神経炎と視神経周囲炎との鑑別で悩む症例があり、まれな疾患ではありますが、視神経炎との鑑別として重要であるためまとめました。

参考文献
・ Arch Opthalmol 2001;119:1299  視神経周囲炎として最初のliterature review
・ Curr Neurol Neurosci Rep (2016) 16: 16  最新の視神経周囲炎のreview
・臨床神経 2017;57:716-722 日本の視神経周囲炎報告をまとめています