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アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

著者:アトゥール・ガワンデ (Atul Gawande)さん 外科医

原題:”The check list manifesto”

一言紹介:筆者自身の外科医としての体験も踏まえた上で、なぜ人は間違いを起こすのか?その原因として人間の記憶力や注意力がいい加減であるかを解説し、具体的対策としてチェックリストの重要性を説明している。

対象:全ての人(特に仕事で役立てたい人におすすめです)

おすすめ度:★★★★★

難易度:★☆☆☆☆ 誰でも読みやすく特別な予備知識も必要なく読むことが出来る

内容紹介

なぜ僕たちは間違えてしまうのか?僕たちには知識は既に十分あるが、それを適切に利用することが出来ないことが問題だと本書は解説する。例えば、パイロットは専門的な訓練を積むことで無数にあるコックピット内のスイッチがそれぞれどの機能と対応しているかを熟知している。だが、緊急時にそれらの知識を上手く利用することが出来ないと事故へつながってしまう。

複雑な工程・緊急時でも知識を正しく利用し、間違いをなくすためにはどうすればよいか?筆者は「チェックリスト」の有用性をパイロット、医師、高層ビル建築家などの具体例を用いて説明する。チェックリストというと、一見画一的で個性に乏しく「なんとなくつまらないもの」を僕たちは想像する。実施にドラマでは 緊急事態に外科医が天才的な発想で事態を打開するシーンに僕たちは感動を覚える。しかし、現実では緊急事態であるときこそチェックリストを利用し 、絡まり合った糸を解くように 一つ一つの工程を確実に進めていく地道な作業が重要だ。 我々の多くは自身の記憶力や判断力を過信しているが、いかに緊急事に我々人間の記憶力や判断力が当てにならないかを筆者の外科医としての体験も含めて解説する。

なんで我々は間違えるのかという一見耳が痛いテーマに関して、何も特別なことをする必要はなく、 自分を過信することなく一つずつチェックリストを利用して取り組むという筆者のひたむきな姿勢を学ぶことができ、全ての人におすすめの一冊である。

私自身もこの本の影響で、診療でのチェックリストを作成し、ラミネート化して白衣のポケットに入れて持ち運ぶようにしている。「意識障害」のチャックリスト、「酸素化低下」のチェックリストなどなど。共有ではなく、あくまで自分用であるが、実際に導入してから漏れが少なく落ち着いて診療出来ているように感じる(自己満足かもしれないけれど・・・)。