単純ヘルペス脳炎 HSE: herpes simplex encephalitis
現在非常に重症な単純ヘルペス脳炎患者さんの診療をしており調べた内容をまとめます。 病態 単純ヘルペスウイルスにはHSV1とHSV2が存在しますが、前者のHSV1が単純ヘルペス脳炎の95%以上を占めます。ヘルペスウイルスの中枢神経への進展経路としては1:三叉神経あるいは嗅神経を介した直接浸潤2:中枢神経外での再感染からの波及3:中枢神経内潜伏感染の再活性化が想定されています。感染の機序としては1の直 […]
現在非常に重症な単純ヘルペス脳炎患者さんの診療をしており調べた内容をまとめます。 病態 単純ヘルペスウイルスにはHSV1とHSV2が存在しますが、前者のHSV1が単純ヘルペス脳炎の95%以上を占めます。ヘルペスウイルスの中枢神経への進展経路としては1:三叉神経あるいは嗅神経を介した直接浸潤2:中枢神経外での再感染からの波及3:中枢神経内潜伏感染の再活性化が想定されています。感染の機序としては1の直 […]
先日外来で5年経過の緩徐進行性歩行障害を呈し神経学的所見上では痙性が目立つ症例があり、比較的高齢だけれど遺伝性痙性対麻痺かな?と思い精査した結果”PPMS”であった症例がありました。やはりPPMSは日常臨床でそこまで頻度が多いものではないですが、調べた内容をまとめます。 臨床像 PPMSはMSの病型のうちの1つ(RRMS, SPMS, PPMS)であり、MS全体の約10-1 […]
病態・定義 遺伝性痙性対麻痺は臨床上は緩徐進行性の下肢痙縮と筋力低下を認め、病理学的には脊髄の錐体路、後索、脊髄小脳路の変性を認める神経変性疾患です。多くは常染色体優性遺伝で、一部常染色体劣性遺伝などが存在し、SPG〇〇と遺伝子に番号がふられています。細胞内輸送の障害(小胞体など)が病態の主体とされていますが、なぜそれが痙性対麻痺の臨床像を呈するのかはまだ解明されていません。 臨床的には痙性対麻痺 […]
脳血管障害は続発性のmovement disordersのうち22%を占め、また脳卒中側からみると脳卒中全体の1-4%にmovement disorders(パーキンソニズムやchorea, ballism, athetosis, dystonia, tremor, myoclonus, stereotypies, akathisia)を合併するとされています(Lancet Neurol 2013 […]
髄液中で抗体が産生されているかどうか? 「IgG indexとは何か?」という記事で解説した内容と一部重複してしまいますが、改めて解説させていただきます(IgG indexの記事はこちらをご参照ください)。 中枢神経で自己免疫機序の病態があると、中枢神経で自己抗体が産生されます(例えば多発性硬化症や自己免疫性脳炎など)。もちろん具体的な抗NMDA受容体抗体など抗体がわかっていればそれを測定すれば良 […]
病態 異常蛋白血症に伴うニューロパチーの中に含まれます(異常蛋白血症に伴うニューロパチーに関してはこちらを参照ください)。IgM praproteinemiaに伴うニューロパチーのうち約50%で抗MAG(myelin associated glycoprotein:ミエリン随伴性糖蛋白質)抗体が陽性となります。MAGは髄鞘間の接着因子として機能している髄鞘構成蛋白で、下図の赤矢印部分をご参照くださ […]
RIS(radiologically isolated syndrome)は多発性硬化症らしい白質病変を認めますが、明らかな神経学的な所見や病歴を認めず、またその他のetiologyも特定できない状態をさす表現です。頭痛やめまいの精査目的に頭部MRI検査を実施し偶発的に指摘される機会も増えてきていると思います。2009年にRISという言葉が導入されてからの変遷をまとめます。 定義 ■RISの提唱( […]
巨細胞性動脈炎(GCA: giant cell arteritis)は主にlarge size vesselを障害する血管炎です。先日巨細胞性動脈炎が背景にある患者さんが脳梗塞で入院となり、今まで経験がなかったため既報を調べてみました。 機序 頭蓋内の血管と頭蓋外の血管の違いとして、病理的に頭蓋内の血管は頭蓋外の血管と比較して中膜、外膜の弾性繊維に乏しく、栄養血管であるvasa vasorumを欠 […]
病態 Dandy walker奇形は「小脳発生過程での菱脳蓋の先天奇形」が病態です。Dandy walker奇形だけではなく、Blake’s pouch cystも菱脳蓋の先天奇形に該当し、Dandy walker奇形は小脳虫部の形成不全を伴うとされますが、Blake’s pouchでも形成不全を伴う場合があります。これらは完全に区別できるものではなく同一病態のspectrumに属して […]
Fabry病はαガラクトシダーゼA(α-Gal A)の酵素活性低下・欠損によるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)のライソゾームへの進行性の蓄積が病態で、全身の細胞にこれらが蓄積することで臓器障害を引きおこいます。αガラクトシダーゼ遺伝子(GLA)はX染色体上に存在するため、X連鎖性劣性遺伝形式をとります(ヘミ接合体)。しかし、実際には女性でも症候性の場合もあります(症候性ヘテロ接合体)。 以下 […]