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Myerson徴候(Myerson’s sign) / Glabella tap sign/reflex

Myerson徴候についてふと疑問に思って調べていると、なかなかよく分からなくなってきたので原著に戻ったりしながら調べた内容を追記していきます。

おそらく記載としては“Glabella tap sign”が元々ですが(*Glabella=眉間)、いつからかMyerson’s sign(Myerson徴候)として紹介されるようになっています(JAMAの”Does this patient have….”シリーズでも”Glabella tap reflex/test”として紹介されています)。

DeJongの教科書”DeJong’s the Neurologic Examination”には”Despite the widespread use of the eponym, it is in fact difficult to find any clear reference linking Myerson to the glabellar tap reflex”と記載があり、なぜMyerson徴候という名前に至ったのか?は謎のようです。元々の記載は1900年より前らしいのですが、その後色々と有用性に関して検討されているようです。

原理:求心路=三叉神経,遠心路=顔面神経(眼輪筋)による瞬目反射を調べます。数回刺激すると慣れ(habituation)を生じ瞬目が停止する場合を正常と判断しますが、瞬目が停止せずに持続する場合を異常と判断します。

古典的文献 “Primitive reflex activity in primary and symptomatic Parkinsonism” JNNP 1968;31:501-508.

方法:患者の眉間部を患者の視界に入らないようにして、検者の示指で軽くタップする。2秒に1回のペースでタップして、「5回まで」を正常を判断する。
ボーダーラインの判定:10回まで or 早いスピードのタップ(1秒に5回タップ)で5回まで
症例検討:頭蓋内76例、頭蓋外14例、コントロール10例(=計100例)
パーキンソニズム20例:陽性18例、陰性1例、ボーダーライン1例
その他56例:陽性14例、陰性41例、ボーダーライン1例
*下図はopen accessのため上記文献からそのまま掲載。

教科書により正常の上限値を5回、10回と記載されており色々ですが、おそらく上記文献のボーダーラインの解釈により5回または10回としているのだと思います。

パーキンソン病に関して LR+=4.5, LR-=0.13 元:JAMA 2003;289:347-353.
*ただ実臨床では極めて非特異的であり、認知症や脳血管疾患、その他加齢のみでも陽性になることがあるとされています(私自身経験上そのように感じます)。なのであくまでも参考所見程度にとどめるのが臨床上の解釈としては良いのかもしれません。 Eur Neurol 2008;59:221–223