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LSRPN (non-diabetic) lumbosacral radiculoplexus neuropathy

LSRPNは糖尿病性のものがneurologistにとって有名ですが、先日全く糖尿病がないけれど同じような症例が外来でありました。「実は下肢のneuralgic amyotrophyなんてあるのか?はて全くわからないぞ」と思っていたのですが糖尿病と関係ない文献もあることが分かり自分の勉強ですがまとめます。

(non-diabetic)LSRPN57例の検討(Mayo clinic) Brain 2001;124:1197-1207.

・inclusionの基準:①亜急性経過の疼痛(通常発症日が特定可能で、その後日~週~月単位で進行)、筋力低下または感覚障害、②電気生理によりlumbosacral領域の神経根、神経叢の障害と判断(最低2つのつまり別々の神経根支配の末梢神経障害の証明)
・exclusionの基準:①画像上器質的病変があり、②DMがある、③他疾患(CIDP, SLR, 血管炎, Lyme病、サルコイドーシス、放射線照射歴あり),④上肢神経障害あり
*最もexcludeされた病態:DLSRPN n=55, CIDP n=39, よくわかないpolyradiculopathy n=39, MGUS neuropathy n=24, 血管炎性ニューロパチー n=11, lymphoma n=8, その他自己免疫性ニューロパチー n=7, MND n=7, POEMS n=6, 器質的病変 n=6, 放射線照射による神経叢障害 n=6

・年齢:69.4歳(27.8-86.5) 男性29, 女性28
・体重減少随伴 42/57  通常体重減少は病初期の段階で認める
・髄液:細胞数1/μL(0-12), タンパク 66.5mg/dL(38-283)
・ほぼ全例疼痛が初発かつ最も重度の症状
・疼痛の性状:aching, hurting, stabbing, electrial shock-like, burningなど様々、アロディニア: 24/57例
発症日を特定可能なことがほとんど
・56/57例は歩行補助具が必要(筋力低下が重度のため)
・自律神経障害合併 28/57例 便秘または下痢 n=13, 排尿障害 n=11, 性機能障害 n=11, 起立性低血圧 n=4, 発汗障害 n=3
・進展形式:下肢の近位または遠位からはじまり、その他の領域(当初障害されていなかった領域)へ障害が拡大していく
片側性の発症:50/57, 左右非対称:全例
・発症障害部位:足下腿 17/57, 臀部大腿 25/57, 臀部背部3/57
・進行後:下腿+大腿 52/57, 両側性の障害 51/57, ずっと下腿に限局 3/57, ずっと大腿に限局 2/57
・頸椎や胸椎領域の神経根症合併例あり
・治療:ステロイド劇的に効果あった症例あり

・病理:生検では虚血性変化を認め、血管炎による虚血が病態と考えられる
→実際のclinicalに障害されているよりも広範囲の病理的所見を認める また運動・感覚全てのfiberが障害されている
・臨床像はDRSRPNとほとんど同様である→同じ疾患像をみているに過ぎないのか?