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パーキンソン病 内服できない場合の対応

予備知識

内服できない場合の合併症
①運動機能悪化に伴う誤嚥や転倒、褥瘡(圧挫)など
②悪性症候群のリスク

周術期の管理に関して

こちらのまとめをご参照ください。

そのまま中止して問題ない薬剤

MAOB阻害薬,COMT阻害薬,アマンタジン
*アマンタジンは稀に離脱としてジストニアをきたす場合があり注意

投与してはいけない薬剤

・制吐剤:メトクロプラミド→対応ドンペリドンにする
・抗精神病薬:出来るだけ使用しない・どうしても使用する場合は錐体外路副作用が少ないクエチアピンにする

各薬剤のレボドパ換算式(LED: levodopa equivalent dose)

Movement Disorders 2010;25:2649–53.

薬剤投与量LED: levodopa equivalent dose 100mg
COMT阻害薬エンタカポンLD x 0.33
ドパミン受容体作動薬プラミペキソール (ミラペックス®)開始 0.375mg 最大量 4.5mg1mg
ロピニロール (レキップ®)開始 2mg 最大量 15mg5mg
ロチゴチン (ニュープロパッチ®)開始4.5mg 最大 36mg3.3mg
MAOB阻害薬セレギリン (エフピー®)開始 2.5mg 最大 10mg10mg
ラサギリン (アジレクト®)1mg1mg
その他アマンタジン (シンメトレル®)最大 300mg *腎機能調整100mg

対応

静注投与

・レボドパ換算(LED)/日を計算して、それの約1/2量の点滴静注薬(ドパストン)を投与する
・投与間隔や点滴投与時間に関しての決まりはないが、あまり短時間にしない方が良いと考える

使用する静注用レボドパ製剤 商品名:ドパストン 製剤:50mg/20ml, 25mg/10ml

例)LED=300mg/日の場合→静注ドパミン量=150mg/日なので
処方:ドパストン50mg+NS100ml 3時間かけて投与 1日3回投与(6,14,22時)

経管投与にする

・ドパミンアゴニスト:徐放性剤は粉砕できないため,1日3回の速放剤に切り替える

ロチゴチン貼付薬

・消化管の吸収不良がある場合も有用である
・ドパミンアゴニストに共通であるが精神症状副作用に注意

換算方法(24時間投与量)
・レボドパ:1/30
・スタレボ :x0.043
・ロピニロール:2/3
・プラミペキソール:x3.3

必ず投与して反応性を確認,フォローすることが重要(換算計算式と体内での代謝が必ずしもみな同じになる訳ではない)

皮下注射製剤(アポモルフィン)

参考文献
・Pract Neurol 2016;16:122–128. よくまとまったreview articleです