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Critical Care EEG Terminology: ACNS 2021

新しい施設は持続脳波検査を積極的に行うことが出来るため日々勉強させていただいております。このcritical care EEGの領域は実際にどれだけ経験したか?勉強したか?がとても重要な分野です。脳波は従来言葉の使い方も人によって違って訳わからない・・・と思われてきましたが近年用語の整理がすすみとても分かりやすくなっています。全てを訳すだけだとDeepLの方が圧倒的に優れているので、重要なポイントを抽出していきます。J Clin Neurophysiol 2021;38: 1 – 29

RPPs: Rhythmic and periodic patterns

Main term 1:部位
Main term 2:波形のタイプ
± modifiers:特に”evolution”と”+”が重要な所見

Main Term 1: G, L, BI, UI, or Mf

G: Generalized
L: Lateralized
BI: Bilateral Independent
UI: Unilateral Independent
Mf: Multifocal

Main Term 2: PDs, RDA, SW

Periodic Discharges: PDs
・Periodic:識別可能なインターバルがある・周波数の変動<50%・最低6回以上連続する
・Discharges:背景活動から明確に区別される必要がある

Rhythmic Delta Activity: RDA
・Rhythmic:インターバルなく均一な波形が繰り返し出現・周波数の変動<50%・最低6回以上連続する *”irregular”, “polymorphic”なΔ波はRDAとみなさない *Δ波:0.5~4Hz
*PDsとRDAどちらの基準も満たす場合は”PDs + R”と記載する(RDA+Sではなく)

Spike-and-wave, Sharp-and-wave: SW
・spike, polyspike, sharp waveの後に徐波が後続するのが繰り返す波形・最低6回以上連続する・インターバルがない

Main Modifies

Evolution

Evolving:最低2段階の同じ方向へ周波数(0.5Hz以上の変化)・波形の形態・部位の連続する変化
1つの段階は最低3サイクル連続することが必要
*5分間ずっと同じ波形の場合はevolutionではない
*振幅だけの変化はevolutionととらない

Fluctuating:evolvingの基準を満たさない+1分以上間隔を開けずに3段階以上の周波数(>0.5Hz)、形態または部位の変化を認める・1つの段階は最低3サイクル連続することが必要

*振幅の変化はevolvingやfluctuatingを満たさない

・Static:上記のevolving, fluctuatingいずれにも該当しない

Plus (+)

“+F”: fast(速波)を伴う・PDsまたはRDAに適応
“+R”: rhythmic deltaを伴う・PDsのみに適応
“+S”: sharp wave, spikeを伴う・RDAのみに適応

発作の定義

Electrographic Seizures (ESz)

1:てんかん性放電>2.5Hzが10秒以上持続(10秒間に>25回のてんかん性放電)
または
2:いずれの脳波所見でもevolutionを伴い10秒以上持続


*この「10秒間」という基準は暫定的なものであり、どこまで厳密にこの10秒ルールに則るべきかどうかは正直わからない

Electrographic Status Epilepticus (ESE):ESzが「10分以上」または「60分記録全体の20%以上」認める場合(10分の基準はFIASの重積基準と同様)*前は50%以上という基準であったが20%へ変更

Electroclinical Seizure (ECSz)

1:脳波と臨床所見が”time-locked”に相関する
または
2:静注抗てんかん薬により「脳波+臨床所見」がいずれも改善する

・ECSzは脳波上ESzを満たす必要はない
・ECSzは10秒未満でも良い(electrographic seizureは10秒以上が必要条件であるが)
・相関する臨床所見は軽微でよい(顔、共同偏視、眼振など)

Electroclinical Status Epilepticus (ECSE):ECSzが「10分以上」または「60分記録全体の20%以上」認める場合

Ictal-Interictal Continuum (IIC)

・純粋に脳波上の表現であり診断ではなく、臨床の文脈の中で解釈する必要がある
・発作(ictal)と発作(interictal)は100, 0で区別されるものではなく連続的な概念であり、ESzやESEの基準を満たさないが(つまり発作の定義ではないが)発作に近い状態をこのように表現する(いわゆる”possible ESz, possible electrographic SE”)*繰り返しだがESz, ESEは満たさない
・IICの脳波所見を静注抗てんかん薬により「脳波所見+臨床」が改善する場合はECSxz, ECSEの基準を満たす、「脳波所見のみ改善」(臨床所見は改善しない場合)はpossible ECSEと判断する

・PDs, SW:平均1.0~2.5Hz(10秒以上持続)


・PDs, SW:平均0.5~1Hz(10秒以上持続)+ “plus modifier” or “fluctuation”


・LRDA:平均>1Hz(10秒以上持続)+”plus modifier” or “fluctuation” *GRDAは含まない