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発作(seizure)と髄液所見

ここは臨床現場でたびたびきになるポイントです。結論を申し上げると「発作後(postictal)の髄液細胞数上昇はまれであり、髄液細胞数上昇を認める場合はその原因を検索するべき!」になるかと思います。

目次

文献

■発作と髄液所見の検討 Epilepsy Research 2015;114:23

方法:後ろ向き単施設 319例 *中枢神経感染症は除外
患者背景:年齢中央値59歳(14-97歳)
原因:原因不明133, 脳血管障害84, 脳腫瘍21, 神経変性疾患11, 脳症11, 外傷7, 奇形や海馬硬化症5, 過去の中枢神経感染症 5, gliosis 4, 自己免疫疾患 3, carvernoma 2, その他21, psychogenic 10(control)
発作型:FAS 31, FIAS 66, GTCS 81, FBTCS 77, 重責 54, psychogenic 10 *元文献は発作型旧分類であるが、新分類に管理人が直して表記
発作から腰椎穿刺までの期間:平均1.74日(中央値1日)

髄液所見まとめ:QAlb異常所見34%(中央値6.1×10-3)、Tau蛋白異常所見36%(中央値225 pg/mL)、細胞数上昇6%(中央値1/μL 最大24/μL)*正常を<5/μLと定義

時間経過による髄液所見の変化

発作型による髄液所見の違い

持続時間による違い


管理人メモ

・個人的には最も気になるのは「髄液細胞数」で、発作型や発作の持続時間でも差がなく、上昇は6%と極めてまれな点が最も目をひきました。
・この研究結果の重要なメッセージは「発作後の髄液所見で細胞数が上昇することは6%とまれであり、髄液細胞数上昇を認める場合は発作以外の原因を検索するべきである」と思います。
・通常の蛋白がどうなるかが気になりましたがその点は検討がありません。個人的には蛋白は発作後上昇するケースがよくあると思います。ただやはり細胞数の方が臨床上持つimpactが大きいので重要と思います。