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てんかん 自動車運転

てんかんと自動車運転は切っても切り離せない重要なテーマです。今回はどちらかというと自分の知識の整理のための記事になってしまい恐縮ですが、あくまで参考とさせてくたださい。かなりまだまとめきれていなくて分かりにくい内容で恐縮です。

法律と歴史的な経緯

1960年:旧道路交通法「精神病者,精神薄弱者,てんかん病者,目が見えない者,耳が聞こえない者又は口がきけない者」は 絶対的欠格事由 に該当
→意味:「てんかん」患者さんは全て(発作頻度などに関わらず)免許の取得が不可能

2001年:道路交通法改正 「絶対的」欠格事由から「相対的」欠格事由へ
→意味:「てんかん」患者さんは一律で免許取得が不可能ではなく、状態により免許取得が可能

2011年栃木県鹿沼市、2012年京都祇園で自動車暴走事故あり(運転適性のないてんかん患者さんが病状を申告せずに運転免許を取得していた経緯)、ニュースでの報道や署名活動などあり

2013年 以下の2つの法律が重要
■道路交通法改正 以下4点が変更点(目的は「運転適性がないにも関わらず運転を続けることを抑制」+「免許再取得の負担軽減」
 *1:てんかん患者さんの免許申請・更新時に質問票への解答義務(虚偽記載には罰則あり)
 *2:医師が「任意」で診断結果を公安委員会へ提出可能(個人情報の守秘義務が免除) *このプロセスを医師が行った・行わなかったことで医師が刑事上責任に問われることはない(つまり「義務ではない」)。
  ・まず本人、家族へ説明
  ・運転停止を受け入れない場合には公安委員会へ診断結果を個人情報を含めて届け出可能であることを説明
  ・それでも運転している場合は公安委員会へ書類を提出することが可能
 *3:免許が病気が原因で取り消された場合は3年以内に運転適性が回復すれば、適性検査のみで再度取得可能(筆記試験や実技試験を免除)
 *4:交通事故の原因として一定の病気が疑われる場合は、現場の警察官の判断で免許を3か月停止可能

■「自動車運転死傷行為処罰法」(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)
意味:これまでは「危険運転致死傷罪」(故意による)と「過失運転致死傷罪」(不注意による)があった。それまではてんかん患者さんが運転適性がないにもかかわらず運転して事故を起こしてしまった場合は後者の「過失運転致死傷罪」に問われることがあった。それが今後は

てんかん患者さんの免許取得における条件

すごくざっくりまとめると「過去2年間以上発作がない」または「運転に支障をきたさない発作+観察期間」が条件として重要です。ここでは「抗てんかん薬を内服しているかどうか?は関係ない」です。その詳細に関して以下にまとめます。

■一定の病気に係る免許の可否等の運用基準

2 てんかん(令第33条の2の3第2項第1号関係)

(1)以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
ア:発作が過去 5 年以内に起こったことがなく,医師が「今後,発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
イ:発作が過去 2 年以内に起こったことがなく,医師が「今後,x年程度であれば発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
ウ:医師が,1 年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ,今後,症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
エ:医師が,2 年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり,今後,症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合

(2) 医師が、「6月以内に上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には、6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(1)の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(1)に該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、さらに6月以内に上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合にはさらに6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。

(3) その他の場合には拒否又は取消しとする。

(4) 上記(1)イに該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査を行うこととする。

(5) なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、中型免許(中型免許(8t限定)を除く。)、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当する者がこれら免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(2)及び(3)の処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、当面、免許申請・更新申請に係る再考を勧め
るとともに、申請取消しの制度の活用を慫慂(しょうよう)することとする。

てんかんと診断されてからの実際の流れ

1:免許の新規取得・更新時に患者さんが「症状」を質問票に解答する *上記の2013年道路交通法改正参照
2:以下の方法A or Bが必要
 方法A:主治医による診断書(公安員会指定の診断書が必要であり、患者さんに運転免許センターでもらっていただく必要がある)
 方法B:臨時適性検査(公安委員会) *主治医による診断書が得られない場合
3:最終的に公安委員会が判断

*元々免許を持っていて「てんかん」の診断に至った場合に、免許更新前に公安委員会へすぐに届け出る必要があるか?
→届け出に関して明文化されたものはなし(現状は義務なし)。届け出に関して義務となっているのは免許申請時と更新時に質問票に正しく「症状」を解答すること。

初回の非誘発性発作もしくは急性症候性発作の場合はどうする?(つまり「てんかん」の診断ではない場合)

この点も実臨床で悩む点です。日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」最終案(こちら)では以下の様な記載があります。以下そのまま抜粋させていただきます。

  1. (道路交通法施行令第三十三条の二の三の2の一について)てんかんの除外規定「発作が再
    発するおそれの(きわめて少)ないもの、発作が再発しても意識や行為に影響を及ぼさないもの、
    並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く」をより正確に適用する。具体的には、現行の運
    用基準を以下のように改める。

(4)てんかんではない発作、診断時点ではてんかんと確定できない発作について
(i) 誘発発作(急性症候性発作、状況関連性発作)は、その後 6 ヶ月間発作がなく、原因が
除去されている場合。ただし、医師の判断により 6 ヶ月未満でも、「発作が再発するおそれ
がきわめて少ないもの」とできる。
(ii) 初回の非誘発発作で、その後6ヶ月間発作がない場合

*ここから管理人の文章。非誘発性発作の場合は「6か月」という期間が1つの目安となります。

大型免許の場合

基本的にてんかん消失(=過去10年間無発作+過去5年間無投薬)の条件を満たすこととほぼ同義となります。以降日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」最終案 からそのまま抜粋させていただきます。

7.大型免許および旅客輸送にかかわる免許について、過去に1回のみ非誘発発作があったもので
は、抗てんかん薬なしで5年の経過観察期間に発作の再発がない場合、過去に2回以上の非誘発
発作があったものでは、抗てんかん薬なしで10年の経過観察期間に発作の再発がない場合のみ
を除外規定とする。

患者さんはとりあえずどこに相談すればよい?

安全運転相談窓口(旧 運転適性相談窓口) 運転免許センターにあります

最終記載日:2021/12/22

参考文献
・BRAIN and NERVE 69 (10):1069-1077,2017「てんかんと運転」
・「てんかんと自動車運転」に関する Q&A
・日本てんかん協会, 道路交通法施行令の運用基準
・日本てんかん協会のホームページ https://www.jea-net.jp/epilepsy/drive