学生の時に解剖の授業で勉強したけれど訳がわからなかった「翼口蓋窩」ですが、確かに臨床では特に耳鼻科・脳外科領域などで重要な解剖構造です。神経内科医はここは苦手な領域ですが、勉強しないといけない状況がときどき生じるため、以下にInsights Imaging (2016) 7:589 – 599と「画像診断 Vol.41 No.11 増刊号 2021」から学んだ内容をまとめます。
解剖
含む構造物:脂肪(脂肪が窩を埋め尽くしている)・翼口蓋神経節・Ⅴ2(三叉神経)とその分岐・翼突神経
出口と構成(以下を参照)
・正円孔(foramen rotundum)・翼突管(pterygoid canal):中頭蓋底と交通(正円孔は海綿静脈洞へ・翼突管は翼突管神経(Ⅶ)を含む)
・下眼窩裂(inferior orbital fissure):眼窩と交通
・翼上顎裂(Pterygomaxillary fissure):側頭下窩・咀嚼筋間隙と交通(Ⅴ3は卵円孔を通じて咀嚼筋間隙へ)
・蝶口蓋孔(Sphenopalatine foramen):後鼻腔と交通
・翼口蓋管(greater palatine canal):口腔と交通
まとめると頭蓋内・眼窩・鼻腔・口腔・咀嚼筋間隙という5つ解剖構造を結ぶ配電盤でいうところの「ハブ」の様な役割を担っている。臨床的には同部位へ腫瘍伸展の際に考慮するべき重要な構造物になっている。
CT画像
1:axial像
2:coronal像
3:sagittal像