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PTP誤飲

先日救急車でPTP誤飲の症例がありました。内科医をしていると高齢者の異物誤飲の中ではよく遭遇すると思います。一度調べてみようと思いまとめました。短めの内容で恐縮です。

PTP“Press-Through-Package”の略称でプラスチック製の薬を入れるつつみで、当初は1錠ずつ分けることができたため、誤飲が多発してしまいました。その対策として1錠ずつ分けられない構造になりましたが、患者さんが1錠ずつPTPをハサミでカットすると誤飲が起こる場合があり、先端が鋭利になって消化管を傷つけてしまう(消化管穿孔や食道損傷に伴う縦隔炎などの合併症)ため注意が必要です。このため通常は経過観察ではなく内視鏡での除去を行います。

プラスチック部分が塩化ビニル製だとCT上高吸収域を呈し、ポリプロピレン製だとCT上同定が難しいという特徴があります(以下は自験例で青矢印部分がPTPの塩化ビニル製に対応)。このようにCT検査の有用性と限界を意識した上でアプローチする必要があると思います。

日本からの後ろ向き研究ではPTP誤飲が高齢者の異物誤飲の原因として最多(33.5%)と報告されており、高齢者の異物誤飲では重要なテーマと思います(World J Gastrointest Endosc 2020; 12(1): 33-41)。

基本的に何かを誤飲した可能性があり、その後持続的な咽喉頭や食道部に違和感を呈する場合は上部消化管内視鏡検査を行うべきです(CT検査結果によらず)。放置すると穿孔して合併症をきたしてしまう場合もあるため早めの対応が重要と思います。