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MIBG心筋シンチ

原理

■核種123I meta-iodobenzylguanidine(MIBG)はノルアドレナリンの生理的アナログで、交感神経終末でノルアドレナリンと同じように貯蔵、放出される物質です。このMIBGの心臓への集積を評価することで、心臓へ分布する交感神経の節後線維の評価目的に使用します。
*交感神経節後線維の評価は心臓がMIBG, 皮膚がQSART, 末梢血液がNoradrenaline基礎値という関係性にあります(こちらをご参照ください)。

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■H/M比
・H: Heart(心臓)とM: Mediastinum(上縦隔)にそれぞれROI(region of interest)を設定して、その値の比(H/M比)をとることでMIBG集積を定量的に評価する方法(つまり上縦隔をコントロール値として心臓への集積を調べているということ)。
・絶対的な基準値がある訳ではなく、機種などにより差があるため施設ごとの基準値が必要。

■早期像・後期像
早期像(early:15分後)後期像(delay:3~4時間後)を撮像します。いずれも前述の通り基準値はさまざまだが大体2を切ると異常値と判断する。
早期像:交感神経終末の密度を反映(=心臓交感神経の脱神経を反映) *特異度重視
後期像:交感神経機能を反映 *感度重視
*レヴィ小体病はMIBG集積がまず後期像から低下する
Washout ratio:基準値は前述の通りさまざまだが、25-30%以上で異常

■事前休薬が必要な薬剤 *交感神経の神経伝達物質に関与する薬剤
・三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・SNRI/SSRI・レセルピン・MAOB阻害薬(セレギリン)・コカイン・セロトニン・アンフェタミン・エフェドリン・アンフェタミン

■解釈での注意点
・原理からわかるように心臓へ分布する交感神経節後線維が障害されると集積が低下するため、心筋虚血、心不全、糖尿病による自律神経障害などでも集積低下を認める点に注意が必要。

臨床への応用

レヴィ小体病(パーキンソン病・レヴィ小体型認知症)

・他のparkinsonismを呈する疾患(MSA・CBS・脳血管性パーキンソン症候群など)との鑑別
・家族性パーキンソン病のPARK2, PARK8では集積正常のことが多い
・臨床像との対応:姿勢反射障害主体が振戦主体よりもMIBGが低下しやすい
・発症早期では正常例もあり、MIBG心筋シンチの検査結果これだけをもってPDを否定してはいけない(臨床所見が最も重要なことに変わりはない)

参考文献:脳SPECT/PETの臨床第3版 脳機能検査法を極める Medical view