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経鼻胃管

経鼻胃管の適応・禁忌

■適応

・経管栄養・薬剤の投与
・消化管の減圧
・胃洗浄

■禁忌

・顔面損傷、頭蓋底骨折
・食道の異常

挿入方法

0:物品の準備

・経鼻胃管(決める項目は下記の通り)
・潤滑用ゼリーもしくはキシロカインゼリー
・カテーテルチップ
・聴診器
・固定用チューブ

■タイプの決定 単腔:レビン型→経管栄養、2,3腔:サンプ型→ドレナージ目的
*サンプ型はあくまでドレナージ用なので、目的を達した後経管栄養が必要な場合はより細いレビン型へ入れ直す必要がある(下図はhttp://www.fujisys.co.jp/?p=2405、https://www.matsuyoshi-online.jp/category/1500_03_06_26/24758105.htmlより写真を引用)。


■挿入するサイズの方法:経管栄養+薬剤投与 8Fr以上、12Fr以下(不快感を軽減する意味では)、ドレナージ目的は14Fr, 16Fr
■挿入する長さの推定:鼻・外耳・剣状突起の距離を足し合わせたもの+10cmが優れているとされています。それぞれの部位の頭文字をとってNEX法と表現します。

1:挿入手順

・座位の状態をとってもらう。
・意識が保たれている場合はキシロカインゼリーを鼻から吸ってもらう。
・鼻から顔面に垂直方向へ胃管を進める。経鼻胃管にはもともと弯曲があるため、その弯曲を活かして曲がりの先が食道・胃の方向へ向かいやすいようにする。

・意識が保たれている場合は梨状窩周囲まで到達したところで頸部を軽く前屈してもらい、嚥下を繰り返してもらうように促し飲み込んでもらいながら、胃管を進める

*なかなかうまく入らない場合に考慮する点
・胃管挿入側と反対側に首を回旋させる
・左手で輪状軟骨を前方へ持ち上げる(逆セリアック法)
・意識障害で仰臥位の場合も可能なら半坐位にして挿入する
・一般的にチューブが太い方が入れやすいため、太いチューブに変更する
・挿管中の場合は挿管チューブのカフを抜く(食道への圧迫を弱める)

*スタイレットがついている場合は、スタイレット抜去後にスタイレットを再挿入しては絶対にいけない。貫通して消化管を損傷するリスクがあるため。

2:正しく挿入されたかどうかの確認

・聴診器を上腹部にあて、カテーテルチップで空気を入れて、「ごぽごぽ」と空気の音がするかどうかを確認する。
最終的に全例必ずレントゲンで位置を確認する必要がある。このプロセスを省略してしまうことで生じるトラブルが全国で起こっていることをよく認識しておく。
・レントゲンでの確認事項としてはきちんと気管分支部を交差し(つまり主気管支に沿って入ってしまっていないことを確認する)、チューブの先端が横隔膜の正中を超えて尾側にあり(肺の下葉末梢の方までチューブが入ると横隔膜を超えて見える場合があるため、正中を超えることが重要)、途中で渦を巻いていない(食道でループを形成してしまっている場合がある)ことを確認する。

具体的な挿入方法に関してはNEJMにビデオがありますのでこちらもご参照ください(N Engl J Med. 2006 Apr 27;354(17):e16. doi: 10.1056/NEJMvcm050183.)。

参考文献
・Hospitalist 特集「ホスピタリストに必要な手技」