三叉神経からの入力、顔面神経での出力の反射経路を電気生理学的に捉える方法です(眼輪筋反射とも呼ばれます)。脳幹の障害があるかどうか?の評価や、多発脳神経麻痺でsubclinicalな障害を合併しているかどうか?などの評価で利用する機会が多いです。
0:解剖
・R1:眼窩上切痕からの刺激(眼窩上神経)が三叉神経を経由し、三叉神経主知覚核を経由し、同側の顔面神経に出力したものを検出する。
・R2:三叉神経からの刺激を三叉神経主知覚核で経由し、三叉神経脊髄路から三叉神経脊髄路核にシナプスし、両側性に外側網様体を経由してそれぞれ顔面神経から出力する。このためR2は刺激の同側と対側で出力を得る。
1:方法
記録電極:皿電極4箇所(眼輪筋周囲) X1,X2:左、X3,X4:右(上図黄色丸)
刺激電極の位置:眼窩上切痕
刺激強度:10mA(20mA以上にはしなくてよい)刺激頻度:0.1Hzくらい(20-30秒開けても良い), 8回以上記録する
*habituation(慣れ)の問題が生じ得るため、かならず間隔を開けて実施する
2:波形・解釈
各波(R1、同側R2: ipsilateral R2、対側R2: contralateral R2)が生まれる機序に関しては前述の通りです。以下に実際の波形を提示します。このように左刺激の場合の左記録、右記録、右刺激の場合の左記録、右記録をそれぞれ記録します。
基準値:筋電図判読テキスト」著:廣瀬和彦先生より引用させていただきました。
*参考:部位と電気生理検査の対応関係まとめ
大脳:脳波・SEP N20
中脳:ABRⅤ波(中脳下丘)
橋:Blink reflex、ABRⅢ波(上オリーブ核)、Ⅳ波(外側毛帯核)
延髄:SEP P13/14, N18
脊髄:SEP
神経根:針筋電図(特に傍脊柱起立筋)、神経伝導検査(F波)、SEP
末梢神経:神経伝導検査(CMAP:前核より遠位、SNAP:後根神経節以遠)、針筋電図
神経筋接合部:RNST、SFEMG
筋肉:針筋電図