AG開大性代謝性アシドーシス

血液ガスではたとえ一見酸塩基平衡がなさそうに見えても、必ずアニオンギャップ(以下AG)を計算する必要があります。そして、AGが開大していれば必ずAG開大性代謝性アシドーシスが存在します(physiological approachのStep4に該当します。血液ガスの詳しい解析法はこちらをご覧ください)。

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AG開大性代謝性アシドーシスの原因は大きく4つでケトン・乳酸・中毒・CKDです。これは「暗記」する必要があります。なぜなら、「AG開大性代謝性アシドーシスの原因は必ずすぐにその場で原因を突き止める必要がある」からです。極論を申し上げるとAG非開大代謝性アシドーシスや代謝性アルカローシスはその場で原因が分からなくてもすぐに患者さんが死ぬことはないですが、AG開大性代謝性アシドーシスの原因がすぐに分からないと患者さんは死ぬ場合があります。救急外来でAG開大性代謝性アシドーシスの患者さんが来た場合には病棟に上げる前に必ず原因をつきとめます。鑑別を以下に載せます。

■乳酸

血液ガスを測ると乳酸値は通常一緒に測定されるため上昇しているかどうか分かります。乳酸上昇の原因は多くありますが、特に重要なのは循環不全(敗血症含む)、腸管虚血、てんかん後、VitaminB1欠乏の4つです。

■ケトン

糖尿病性アシドーシスやアルコール性ケトアシドーシスで上昇するのはケトン体の内βヒドロキシ酪酸で、通常尿検査で測定するケトン体はアセト酢酸なので、病態を完全に反映はしていませんが参考になります(詳しくはこちらご参照ください)。糖尿病性ケトアシドーシスは無治療で自然に改善することはあり得ません。個人的には緊急の場合は尿ケトン検査の結果を見る前にDKAをきちんと疑うことが出来ると良いと思います。本当にケトアシドーシスで良いか?判断に迷う場合は血中のケトン3分画を提出しますが、これは結果が返ってくるまでに数日かかるためその場での治療方針に影響を与えることはなく、後日の答え合わせに使用するイメージです。

■中毒

全ての中毒でAGが開大する訳ではまったくありません。また中毒というとすぐトライエージ®というイメージがあるかもしれませんが、トライエージで測定できる中毒は限られている点に注意が必要です(トライエージに関して詳しくはこちらをご参照ください)。メタノール中毒では浸透圧ギャップも上昇することが特徴で、基本的に最初の段階ではAGと浸透圧ギャップの上昇から疑います。浸透圧ギャップを提出して、BUN,Glu, Naから計算した浸透圧と解離があるかどうかを調べます。その他サリチル酸中毒(アスピリン中毒)がありますが、サリチル酸中毒は呼吸性アルカローシスを伴うことが特徴です。

■CKD

不揮発酸がたまることでAGが上昇します。

AG開大性代謝性アシドーシスはその場で本を読みながら調べる疾患ではなく、対応にスピードが求められます。鑑別とそれぞれの原因に対してどうアプローチしていけばよいか?に習熟しておく必要があるためよく勉強しておきたいです。

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