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呼吸性アルカローシス

病態

呼吸性アルカローシスは何らかの原因で呼吸中枢が活性化し、換気量が増えることでPaCO2が下がる病態です。呼吸を駆動系・肺胞・血液の3つに分類すると、駆動系の問題に該当し、肺胞や血液の問題ではありません。このため鑑別はかなりシンプルになります。

原因を上げると下記が挙げられます。

・低酸素血症による呼吸中枢へのフィードバック
・敗血症の初期
・疼痛、精神的苦痛
・サリチル酸中毒
・肝不全
・妊娠

このうち特に重要なのは2つで「低酸素血症」「敗血症」が挙げられます。救急や病棟急変で呼吸性アルカローシスをみた場合、まずこの2つを除外するようにします。逆に申し上げるとこの2つを除外することが出来れば患者さんが急激に悪化することはまずありません。

■低酸素血症

低酸素血症があると、換気を増加させて平均気道内圧を上昇させることで酸素化を改善させようと体が働きます。一見バイタルサインでSpO2が正常であったとしても、呼吸回数が12回でSpO2正常と、呼吸回数30回でSpO2正常は意味が違います。後者は低酸素に対してフィードバックが働き換気量を増加させることで低酸素を改善させようとしているため呼吸回数が30回と多くなります。これは血液ガスでのAaDO2開大というかたちで客観的に評価することができます。SpO2単独では呼吸は評価できず、必ず呼吸回数とセットで評価する必要があります(詳しくはこちらもご参照ください)。

■敗血症

敗血症の評価でも呼吸回数のが極めて重要です(qSOFAにも呼吸回数≧22回が入っています)。敗血症で最も最初に動くバイタルサインは呼吸数で、病状の初期では呼吸回数が上昇し、呼吸性アルカローシスを呈することが知られています。

呼吸性アルカローシスは血液ガス異常の中で最も多いものですが、やはり「低酸素血症」「敗血症」をとにかく除外しにいく姿勢が重要です。そこでは必ず呼吸数の評価がセットになるため、呼吸数をバイタルサインとして日々確認するようにしたいです。