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ナツメグ中毒 nutmeg intoxication

ナツメグ nutmeg:Myristica fragrans treeの実 wikipediaより
香辛料:ハンバーグなど肉料理 *スターバックスのトッピングであるかも

原因成分:myristicin(ミリスチン)→代謝されMMDA(3-methoxy-4,5 methylenedioxyamphetamine)になる(交感神経刺激+幻覚誘発
*抗コリン作用(口渇、顔面紅潮、嘔気、ふらふら、尿閉、視野障害)もあるが、縮瞳することが多い点が抗コリンとの違いである(原因不明)
*elemincin→協調運動の障害
*かつて薬剤として使われていたこともある(止痢薬など)

過量内服の症状:頻脈,嘔気嘔吐,興奮,幻覚など
*致死に至った例は2例報告あり これらの命にかかわった症例はフルニトラゼパムの過量内服を併発しているためこちらの影響である(nutmeg単独での致死例は報告ない
*摂取3-6時間以内に発症し、24-36時間以内に消失する

理由:自殺 or 幻覚を楽しむための乱用“nutmeg high” or 偶発的
*TikTokで”nutmeg challenge”という幻覚を楽しむ?謎のはやりがあったようで、それによる救急搬送もあったようです https://www.acep.org/toxicology/newsroom/june-2022/tiktok-nutmeg-challenge-leads-to-intoxication

中毒量:厳密な決まりなし 5-15g 個人差報告でも大きい
*<10gでは通常無症状
*18gを超えるとぼーっとする
*25-28gは頻脈、瞳孔異常、動悸、抗コリン作用、異常行動あり
*recreationalに6-7gが使用されることがある
*6g内服で神経心理検査のパフォーマンスに影響なし

診断:検査日本では実施なし

治療:確立してものなくsupportive care
・特有の拮抗薬なし

論文:イリノイ中毒センターでの2001-2011年のレジストリー 32例の後ろ向き報告 J. Med. Toxicol. (2014) 10:148 – 151

・年齢:2-30歳 平均13.3歳 中央値16歳
・男性22例、女性10例
・意図的過量内服:46.9% 意図していない過量内服:53.1%
*意図的過量内服のうち33.3%(5例)は他の薬剤中毒併発(具体例:Cannabis, アンフェタミン,ベンゾジアゼピン系+ジフェンヒドラミン,デュロキセチン+クロナゼパム+ベンゾジアゼピン系+アセトアミノフェン),鎮咳薬+アセトアミノフェン+抗ヒスタミン薬)
・転機:影響なし 15.6%, 軽微43.8%, 中等度 12.5%, 死亡0%
・症状
 循環系:高血圧 2.27%, 頻脈 6.82%
 消化管:嘔気 6.82%, 嘔吐 6.82%
 中枢神経:幻覚 9.08%, 興奮 9.08%,傾眠9.08%、口渇6.82%、てんかん発作 2.27%、めまい11.4%
 呼吸:なし
 眼:散瞳 6.82%, 視野がぼやける 4.55%

参考文献
・Dis Mon 2009;55:373-379
・Emerg Med J 2005;22:223–225. case report and review 分かりやすい内容で読みやすい